切磋琢磨してきた仲

　第94回都市対抗野球大会は7月14日から25日まで東京ドームで熱戦が展開される。開幕まで注目チーム、選手を紹介していく。

　西関東二次予選。三菱重工Eastは東芝との第1代表決定戦を逆転勝ちで、2年ぶり13回目の出場を決めた。4対4の8回裏に決勝ソロアーチを放ったのは、高卒3年目・津田啓史(横浜高)だった。東京ドームへ導く一発で、同予選の最高殊勲選手賞を受賞している。右投げ右打ちの遊撃手は、攻守で存在感を示した。

　第1代表決定戦の翌日、三菱重工EastはENEOSとのエキシビションマッチを戦った。ENEOSは前年の都市対抗王者。推薦出場により、西関東二次予選は免除されていた。ENEOSは5対1で三菱重工Eastに勝利。試合後に表彰式が行われ、終了後、津田はENEOS・度会隆輝と写真に収まった。2人は横浜高で同級生。卒業後は同じ神奈川のライバルチームで、切磋琢磨してきた仲である。

「度会にはずっと、刺激を受けてきました。自分は悔しい思いをしてきた。負けてはいられない。ここで一つ、成果を残すことはできましたが、まだまだ足りないです。東京ドームで活躍することだけを考えています」

　度会は入社2年目の都市対抗で橋戸賞、打撃賞、若獅子賞と9年ぶりの黒獅子旗奪取の原動力となった。一方、高校時代に名門校の主将を務めた津田は、社会人で苦しんだ。2年目はチームとして、都市対抗出場を逃した。同年の4強に進出した社会人日本選手権から遊撃手として先発の機会に恵まれるも、4試合で14打数3安打(2打点)。「我慢して使ってもらっていました」。首脳陣の期待に応えるため、冬場は猛練習を重ねた。春先、JABAスポニチ大会、長野大会、東北大会と実戦を積んだ。そして、都市対抗西関東二次予選ではついに、形として足跡を残したのである。

「少しは成長できたかな、とは思いますが、打撃、守備も劣っている。練習あるのみです。昨年の予選で負けて以降、チームとして日本一を掲げて取り組んできました。本戦では持っているもの、すべてを出し切りたいです」

　好きな選手はソフトバンク・今宮健太。高卒3年目。津田はあえて口には出さないが、当然、ドラフト解禁年でのプロ入りを目指している。三菱重工Eastは1回戦(7月19日、14時)でNTT西日本と対戦する。ともに第1代表であり、好ゲームが期待される。

文＝岡本朋祐