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都市対抗2023

【都市対抗2023展望】黒獅子旗をつかむチームは? 注目は連覇を狙うENEOS

 

スカウトが熱視線を送る度会


同チーム3度目の連覇を目指すENEOSは高卒3年目・度会のバットに注目である[写真=矢野寿明]


 第94回都市対抗野球大会は7月14日、東京ドームで開幕する。熱戦の12日間。栄光の黒獅子旗をかけた優勝争いを展望していく。

 注目は連覇を狙うENEOSだ。1961、62、2012、13年に快挙を遂げており、同チーム3度目の挑戦となる。名門チームを率いる大久保秀昭監督(慶大)は、田澤純一(横浜商大高。元レッドソックスほか。昨年9月に14年ぶり復帰)を擁した08年に自身初の都市対抗制覇を遂げると、12、13年、昨年と計4度の頂点へ導いている。監督として歴代最多優勝を誇り、昨年は小野賞(大会を通じ素晴らしい活躍をした選手、チームに与えられる)を受賞。チームビルディングに長けた名将だ。

 大久保監督は東京ドームで5勝(1回戦から決勝まで)する術を熟知している。7月14日、バイタルネットとの開幕試合での入りがカギを握る。入社5年目で、主将就任4年目の内野手・川口凌(法大)が抜群のリーダーシップを発揮。投手陣は先発、抑えでフル回転できる右腕・柏原史陽(同大)がいるのは心強い。打線は昨年の打率.429、4本塁打、11打点で橋戸賞、打撃賞、若獅子賞を獲得した高卒3年目・度会隆輝(横浜高)のバットに、NPBスカウトも熱視線を送る。

 前回大会覇者は予選免除で、補強選手はなし。ENEOSは4月の社会人日本選手権対象のJABA四国大会を制し、新人選手の底上げもあり、V候補の一角にいるのは間違いない。

 なお、同ゾーンはトヨタ自動車とHondaによる、1回戦屈指の好カードが組まれている。トヨタ自動車は昨年11月の社会人日本選手権で6度目の優勝。都市対抗東海地区二次予選では1回戦から3勝して、貫録の第1代表である。侍ジャパン社会人代表の主将を務める北村祥治(亜大)、そして、今年10月で40歳になるレジェンド右腕・佐竹功年(早大)が健在。常勝チームの基盤が揺らぐことはない。対するHondaは南関東第3代表ながら、20年の都市対抗優勝経験者が多く残っている。主将就任2年目の辻野雄大(白鷗大)が不動の正捕手で、絶対的な守護神である33歳のベテラン右腕・福島由登(大阪桐蔭高)にいかにつなぐかがポイント。スリリングなロースコアの展開が予想される。

 仮にENEOSが1回戦を勝ち上がれば、トヨタ自動車とHondaの勝者が対戦する2回戦も注目のカードとなる。さらに、同ゾーンではHonda熊本と西濃運輸の対戦も見逃せない。

大会の行方を左右する「強力助っ人」


 Honda熊本は8年連続出場で、6年連続で九州第1代表。20年に準々決勝進出、21年に準優勝と勢いがある。一番・中島準矢(筑波大)、二番・山本卓弥(亜大)、三番・稲垣翔太(明豊高)、四番・古寺宏輝(関東学院大)の4人の破壊力は社会人トップレベル。先発、抑えをこなす絶対的存在の右腕・片山雄貴(駒大)もおり、悲願の初優勝を狙える布陣がそろった。一方、西濃運輸もプロ注目捕手・城野達哉(中部大)がおり、強力打線にどう立ち向かっていくのか、インサイドワークに注目だ。

 14年連続出場のJR東日本と、ドラフト候補右腕・竹田祐(明大)を擁す三菱重工Westも好カード。NTT西日本(近畿)と三菱重工East(西関東)による第1代表対決も好勝負となりそうだ。なお、春先からのJABA大会を制した東芝、ヤマハ、JFE西日本、日本製鉄鹿島、西部ガス、日本通運も上位を狙えるだけの戦力がある。

 都市対抗には「補強選手制度」があるのも特徴的だ。予選敗退したHonda鈴鹿(東海)からは最多8人が選ばれた。また、昨年の都市対抗4強・NTT東日本(東京)、19年の優勝チーム・JFE東日本(南関東)、21年に日本選手権連覇を遂げた大阪ガス(近畿)からは7人が選出。「強力助っ人」である補強選手の活躍が大会の行方を左右するとも言われており、南関東、東京、東海、近畿地区の各代表からは目が離せない。負けたら終わりの一発勝負。1回戦から決勝までトーナメント31試合で、今年も多くのドラマが展開されそうだ。

文=岡本朋祐
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