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西武の鉄腕がFA市場で争奪戦の可能性 「絶対に必要な投手」と残留望む声が

 

タフなサイド右腕


今季もチームに欠かせない存在として腕を振る平井


 最下位に低迷する西武。苦しい戦いが続いているが、救援陣は2点台の防御率で奮闘している。その中で平井克典は勝負の分岐点でマウンドに登り、右腕を振り続けている。28試合に登板して3勝3敗、チームトップの14ホールド、防御率2.28をマーク。今季中にFA権を取得予定の右腕について、スポーツ紙記者はこう分析する。

「タフですよね。大きな故障なく毎年投げ続けられるのは大きな魅力です。今オフにFA権を行使した場合、獲得に興味を示す球団が出るのは間違いないでしょう。セットアッパー不足に悩んでいるチームは少なくないので人気銘柄だと思います。もちろん、西武にとっても絶対に必要な投手です。慰留に全力を注ぐでしょう」

 右のサイドからのスライダーが生命線だ。140キロ台の直球も球速以上の威力があり、フォーク、シュートも交えながら凡打の山を築く。プロ1年目から救援で40試合以上登板と鉄腕ぶりを発揮してきたが、リーグ連覇を飾った2018、19年の活躍は印象的だ。18年は64試合登板で3勝1敗21ホールドをマーク。翌19年は救援陣が手薄な事情で毎日のようにマウンドに上がった。稲尾和久氏が持つシーズン78試合登板を抜き、パ・リーグ新記録の81試合登板で5勝4敗36ホールドの大活躍。NPB歴代2位の登板数でリーグ連覇に大きく貢献した。

先発にも対応可能


 平井は週刊ベースボールのインタビューで、「向かっていく気持ちがなくなったらただの投手。負けず嫌いの気持ちを忘れたらダメだなと思います。どんなすごい打者でも打たれたら仕方ないと思うのが絶対嫌ですから。僕が投げている場面は勝敗に直結する。先発投手の白星をつながなきゃいけないし、劣勢だったら流れを持ってこなきゃいけない。気持ちが出ますよね」と語っている。強打者にも臆せず向かっていく投球スタイルは若手投手たちの良きお手本となっている。

 21年は先発に転向。春先は開幕から3連勝を飾るなど、4試合登板で防御率1.82と最高の滑り出しだったが、その後は打ち込まれる登板が続き、5月31日に登録抹消。7月以降は救援に配置転換されて14試合登板で防御率1.59と好成績を残した。先発として通用していないわけではない。翌22年も先発、救援で計30試合登板して6勝8敗2ホールド、防御率2.89をマーク。投手事情に合わせてどんな場面でも投げられる。首脳陣にとってこれほど頼もしい存在はいないだろう。

さまざまな経験が武器


 今年はリリーバーに専念しているが、先発を経験したことは大きな財産になっている。

「同じピッチャーですが、別のポジションだなという感覚を持ちました。中継ぎだと、自分の自信のある球、その日調子の良い球が優先的に選ばれて、その球でいかにアウトを取るかを考えればいい。でも先発となると、各バッターと1試合で2〜3回り戦うので、前の打席でどういう結果が出たか。それを踏まえて、次、どういうふうにしなくてはいけないかなどは、すごく難しさを感じましたね」と分析。飽くなき向上心で目指す理想は高い。

「一番は、結果を出さなければ大切な家族が路頭に迷ってしまうという危機感。もう一つは、19年以来、納得いく数字をまったく出せてないというプレッシャーや悔しさもあります。もうひと花咲かせたい。あの19年を境にウダウダしている自分がいて、今現在もなんかすっきりしない。ピッチング自体も良いときの感覚と比べたら全然かけ離れていて、なかなか良いものが出てこなくてずっとモヤモヤしたまま野球をやっているなという感じです」

 リーグ連覇の栄光から一転。最下位に低迷している現状に、誰よりも悔しさを感じているだろう。チームを勝利に導くため、平井は必要とされる場面で投げ続ける。

写真=BBM
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