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【高校野球】球場に響かせた「美爆音」 大勝した習志野ナインも名門ブラバンの応援に感謝

 

「達成感」だけでなく「質」も


習志野高は銚子商高との3回戦[7月15日]で勝利。名門・吹奏楽部が選手たちを後押しした


 習志野高と銚子商高による伝統校対決。千葉大会3回戦が行われた柏の葉公園野球場(7月15日)は入場規制が行われるほどのフィーバーとなった。

 この大観衆を味方につけたのは、習志野高だった。1回裏は約40分の攻撃。一挙12得点のビッグイニングで、完全に主導権を握った。

 三塁側応援席には習志野高の吹奏楽部約170人が陣取り、迫力ある演奏を展開。この40分間、ほぼ途切れることなく名物応援歌『レッツゴー習志野』などの応援曲が繰り返し流れた。蒸し暑い中でも、疲れを見せることなく、受け継がれる全力応援で習志野サウンドの「美爆音」を響かせ、場内を支配した。

 習志野高吹奏楽部の魅力は、大演奏だけではない。イントロ、合間などの声も武器の一つ。この夏は演奏の人数制限の解除、声だしの解禁で、4年前の光景が戻った。習志野高吹奏楽部・海老澤博顧問はしみじみと語る。

「常日頃から学校生活を送る仲間たちを応援するんですから当然、力も入ります。皆で演奏でき、皆で声を出して声援できる。これが自然の形。生徒の目がイキイキしていますよ」

 海老澤顧問はさらに、続ける。

「応援ストップの時期があったからこそ、いま、私たちはありがたみを持って活動しています。周囲の方々の盛り上がりは、コロナ禍前よりも、倍増している。私たちにも温かい目で、見守っていただけている。皆さんもこの状況を待っていたんだな、と。時間を見つけては、ネット中継で全国の地方大会を見ますが、どの球場も良い雰囲気ですよね。こちらとしても、負けられない気持ちになります」

 感慨に浸っているだけではない。全国大会金賞の常連である名門ブラバンは「達成感」だけではなく「質」も求めている。

「完成度? まだまだですよ。本来は夏初戦(2回戦)にピークを持ってこないといけないんですがね(苦笑)。生徒たちはよく練習しますし、この夏も、1試合ごとにレベルアップしている。私たちにとっても、この夏は作り直していく、新たなスタート。これまでも、高校野球応援に携わってきた者として、生徒とともに一つひとつ作り上げていきたいです」

 習志野高は12対0(5回コールド)で、銚子商高を下し、4回戦進出を決めた。八千代高との初戦(2回戦)は苦戦(8対5)しただけに、伝統校対決を制して、4年ぶりの甲子園出場へ、弾みをつけたと言っていい。

 習志野高の主将・日下遙琉(3年)は「応援が後押ししてくれた。応援が打たせてくれた」と言えば、先制打の四番・佐藤鷲哉(3年)も「応援が力になった。感謝したい」と頭を下げた。スタンドの大声援をバックにプレーできる喜びを、球児たちはかみ締めている。応援する側も、選手からのこうした言葉が聞かれれば、これ以上の感激はない。学校応援と高校野球は、運命共同体。応援席は教育現場における、最高の教室なのである。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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