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都市対抗2023

【都市対抗2023】初戦で見事に6安打完封勝利 サイド転向が転機となったパナソニック・與座健人

 

最速も150キロに到達


パナソニック・與座はJR西日本との1回戦で6安打完封した[写真=BBM]


 第94回都市対抗野球大会は7月14日、東京ドームで開幕した。熱戦の12日間。栄光の黒獅子旗をかけた熱戦をリポートしていく。

 パナソニック(門真市)の先発・與座健人(関西国際大)がJR西日本(広島市)との1回戦(7月15日)で完封(3対0)した。

 入社8年目の與座。転機となったのは4年前、腕を下げてサイドから投げるようになったことだ。

「試合に出ることができず、下から新しい選手も入ってくるなかで、いつクビになってもおかしくない状況でした。それで『なんとかしないと』と思い、腕を下げて投げることにしたんです。自分としてはサイドより少し上のスリークォーターで投げているつもりなのですが、コントロールが安定しだしました」

 球速も上から投げていたときは148キロが最速だったが、横から投げるようになって最速150キロに到達。今年はさらに一皮むけた。

「昨季は自分の思ったようなボールが行かず、力んでしまいました。そこで、今季は春先から力まないように意識して投げ、その感覚をつかむことができたんです」

 JABA大会では初戦の先発を任され、都市対抗の近畿地区二次予選では4試合に先発。1完投を含む30回1/3を投げて8失点、防御率2.37と安定した投球でチームを第4代表で東京ドームへと導いた。

 NPBで87試合に登板した経験を持つ金森敬之監督(東海大菅生高)も「最近はバランス良く投げられていて、力感がなくても真っすぐが走りますし、変化球も腕を振って投げられています」と信頼を置いている。

 都市対抗の本大会でも初戦の先発を託されると、立ち上がりの初回こそ連打を浴びて一死一、二塁のピンチを迎えたが右の強打者・田村強(大体大)をショートゴロに打ち取り狙い通りの併殺。以降は「ストレートはスピードが出ていて良かった」と力のピッチングを披露。最後まで球威は落ちることなく「トーナメントなので1イニングずつですが、先発する時はいつも最後まで行くつもりで練習しています」と相手打線を6安打に抑え、全国大会で初めての完投を完封で飾った。

 與座投手の弟は、西武でプレーしている海人。兄はサイドスローで、弟はアンダースローだが「特に技術的なことを話し合うことはありません。家族LINEで『この日に登板するよ』とか『頑張れよ』と送るくらいなんですが、今日は良い報告ができそうです」と笑った。

 今後の戦いに向けて「まずは8強を超えてベスト4へ。そこからは一つずつ戦っていき、優勝を目指したい」と語った與座。大会中の7月17日に30歳を迎えるベテランが、古豪・パナソニックをけん引する。

取材・文=大平明
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