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ソフトバンク8連敗も柳田悠岐に三冠王の可能性が 「完全に復調した」と太鼓判が

 

頼りになる四番打者


四番、キャプテンとしてチームをけん引している柳田


 3年ぶりのV奪回を狙うソフトバンクだが2年ぶりの8連敗を喫し、首位・オリックスと4.5ゲーム差に広がった。苦しい戦いが続いているが、頼りになる四番打者が柳田悠岐だ。

 7月に入って、5日の日本ハム戦(PayPayドーム)から3試合連続猛打賞をマークするなど絶好調。13日の西武戦(PayPayドーム)では、0対0の5回二死一、二塁で西武の平良海馬が三番・近藤健介に2ボールにした場面で首脳陣に申告敬遠を要請。すでに一塁は埋まっていたが、二死満塁で柳田との勝負を選んだ。異例の判断に球場がどよめきに包まれたが、すぐにソフトバンクファンの歓声に変わった。平良の初球の137キロのスプリットを中前にはじき返す2点適時打。ベンチに向かってガッツポーズする柳田の表情は晴れやかだった。

 主将に就任した昨年は打率.275、24本塁打、79打点。物足りなく感じるのは能力の高さを誰もが認めているからだろう。シーズン前には週刊ベースボールのインタビューで、「僕の中ではキャプテンって、アマチュア時代、高校とか大学のキャプテンのイメージが強いんですよ。真面目で、練習もたくさんする。僕とは正反対だから、ちょっと難しいなと思うんですけど(苦笑)。まあ、でも周りもみんなプロなんでね。自分のやるべきことは分かっているので、僕はあれこれしなくても大丈夫だと思います」と語っていたが、不調の時も前を向き続けてチームを鼓舞した。

侍ジャパン入りを辞退して


 リーグ最終戦の試合前の声出しでは、「ほんとここまで来たら、やるしかないし3時間死ぬ気でやろう。ダメだったら全部俺のせいで、こんなん(キャプテンマーク)破り捨ててやる。俺のせいにしろ。死ぬ気でいくぞ」とナインに力強く宣言した。オリックスと勝率で並んだが、直接対決の成績で2年連続V逸。2017年から4年連続日本一と黄金時代を築いただけに、その悔しさは計り知れない。

 打棒が爆発力を欠いたのは、コンディションを整えることに苦労したことが一因だった。1月の自主トレ中に新型コロナウイルスに感染すると、開幕直後に左肩を痛めて戦列を離れた。復帰後も体重を増量したことで体のキレが失われてしまった。昨年の反省を生かすため、大きな決断を下す。WBCに出場する侍ジャパンのメンバーに内定していたが、出場を辞退。悩んだ末の決断だったが、シーズンに向けてのコンディション作りに集中することを決断した。

打撃以外でもチームに貢献


 柳田は打つだけの選手ではない。15年に打率.363、34本塁打、99打点、32盗塁でトリプルスリーと首位打者に輝いている。年齢を重ねるとともに盗塁数は減っているが、打って、走って、守ってリズムを作るスタイルは変わらない。今月6日の日本ハム戦(PayPayドーム)では、0対0の3回無死一、二塁のピンチに右飛でタッチアップした二塁走者を好返球で三塁アウトに。直後の打席で加藤貴之から打った瞬間に本塁打と分かる先制右越え2ランを放つと、同点に追いつかれた8回一死二塁の好機で、フルカウントから2番手・河野竜生の真ん中低めにカットボールに泳ぎながらもきっちり捉えて右中間を割る決勝の適時三塁打。「今日は8歳ぐらい若返ったような気がします」とお立ち台で笑みを浮かべた。

 目下打率.309、14本塁打、48打点。3部門すべてで3位以内と三冠王を狙える位置につけている。スポーツ紙記者は「柳田は完全に復調したと思います。大好きな夏場で打棒が爆発すれば、覇権奪回が見えてくる。本人は意識していないでしょうけど、三冠王も達成可能でしょう」と期待を込める。

 勝負の夏場で、修羅場を潜り抜けた主将の活躍に要注目だ。

写真=BBM
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