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若鷹ファーム奮闘記

タマスタ筑後がアツい!――2軍前半戦振り返り&後半戦の見どころ【若鷹ファーム奮戦記VOL.5】

 

プロ野球ではオールスターゲームまでを「前半戦」と呼ぶ。2軍公式戦も日程的にはフレッシュ球宴ブレイクがあり、その後「後半戦」に突入する。今回は前半戦の若鷹たちの躍動を振り返る。タマホーム スタジアム筑後では3月の開幕からここまで、ウエスタン・リーグのホークス主催戦は34試合の熱戦が繰り広げられた。その中から印象深かった試合やシーンを厳選してお届けする。タマスタ筑後ならではの魅力をぜひ感じ取ってほしい。

■3月29日(水) vs広島東洋カープ○6−0


攻守でチームを支える甲斐拓也。WBCから帰国した直後にはタマスタ筑後で再始動した[写真は2023.5.30中日戦 PayPayドーム]


 WBC優勝捕手が帰国後まもなくチームに合流しタマスタ筑後から再始動した。前日28日に続きこの日も先発マスクをかぶった。1軍開幕戦を翌々日に控えた最後の調整の場にタマスタ筑後の2軍戦を選んだのだ。

 そしてバッテリーを組んだのはパ・リーグ最年長選手の和田毅だ。和田も開幕ローテ入りが内定しており、本番に向けた最終調整として筑後のマウンドに上がった。42歳左腕とWBC捕手のコンビは若鯉打線を手玉に取り、5回までに許した走者は安打の1人のみという圧巻の内容だった。6回の甲斐は武田翔太とバッテリーを組み、その裏の打席で安打を放って退いた。

 2軍は若手育成の場でもあり、本来は1軍で活躍する選手が再調整する場としても活用される。タマスタ筑後は福岡PayPayドームに比べれば選手との距離感が近いのも魅力。「あの選手を間近で応援できた」という意外な体験も2軍戦の楽しみ方の1つだ。

■4月20日(木) vsオリックス・バファローズ●0−3


筑後で熱投を見せた森唯斗が1週間後のPayPayドームでの楽天戦に勝利


 試合にこそ敗れたが、復活を期す右腕の「覚悟」がにじむ投球に平日デーゲームながら詰めかけた1,151人のファンの心を打った。森唯斗の熱投だ。7回90球で3安打3失点。味方失策が絡んだ後の失点で「自責0」だったが、「あの(味方ミスがあった)中だったけどしっかり0点で守らないといけなかった」と悔しがった。

 先発となったが一球入魂のスタイルは守護神時代と変わらなかった。また、マウンドから伝わる気迫も、1軍のマウンドと同じまま。「今日はマジで……やっぱやめときます」と一度口を閉じかけたが、言葉を継いだ。「マジで『肘とんでもいいわ』くらいの気持ちで腕を振りました。もちろん怪我しちゃダメだけど、それぐらいの気持ちでいってました」。

 その1週間後の27日、森は1軍のPayPayドームでの楽天戦に先発。6回無失点で勝利投手となった。筑後で腕を磨き、PayPayドームのひのき舞台でヒーローとなって見せたのだ。

■6月13日(火) vs阪神タイガース○2×−1


恵まれた体格を生かした長打が魅力の生海


 ルーキーながら4番打者に起用される生海が「人生初」というサヨナラ本塁打を放った。

 9回裏1アウト走者なし。阪神二保旭の変化球を「打った瞬間にいったな」と確信する右越えの会心アーチを放った。

 福岡県北九州市出身で、東北福祉大からドラフト3位で入団。春季キャンプからA組入りを果たすも右肩の故障で出遅れた。それでも復帰すると2軍戦デビューから4番を任され、小久保裕紀2軍監督からの高い期待も感じさせる。

 将来の目標は「ホームラン王」と力強く語る。大学時代から一発にこだわり、ヤクルト村上宗隆そっくりの打撃フォームで構えていたが、最近は手の位置を少し高くして「より効率よくバットが出せる打ち方」に変えている。

タマスタ筑後の魅力


イベントが盛りだくさんで試合以外でも満喫できる内容が充実している


 チームの明るい未来をより早く目撃したり情報をキャッチできたり、1軍に比べて距離感も近いため選手の熱量そのものがビシビシと伝わってくる。そんな魅力が「真剣に野球を楽しんで応援したいならファーム観戦がおススメ」と野球ツウの中で言われる所以だ。

 まもなく夏休みシーズン。7月第4週にはじまり、8月の毎週、9月第1週(3日は大分市・別大興産スタジアム)まで7週連続にわたり毎週末、タマスタ筑後ではホークス主催のウエスタン・リーグ公式戦が開催される。

 イベントも盛りだくさんだ。7月21日(金)より金曜日のナイトゲームは「タマスタ筑後 フライデーナイト」を開催。タマスタ筑後が“フライ(アゲる)”をテーマにさまざまな施策が用意されている(8月11日の祝日を除く)。

 入場者先着1,000名には「フライデーナイト専用うちわ(全3種)」をランダムに配布(アゲる!)。試合後には花火をアゲるし、揚げ(アゲ)物は割引に。球場ものぼりをアゲて盛り上げる。

 そして土日の試合はグルメテントやキッチンカーが出店。球場内の「ファームキッチン」でも通常メニューのほかに「ウマ辛冷やし担々麵」(※夏季商品)や「おひさまマンゴーレモネード」(7・8月のドリンク)、「フローズン」(パイン/ピーチ・※夏季商品)なども販売される。

 8月のタマスタ筑後もアツい。8月5日(土)・6日(日)の広島戦は「タマスタ筑後デー」。これはタマスタ筑後の魅力を発信するイベントとして2021 年度より開始。今年はHAWKSベースボールパーク筑後の開業7周年にちなみ、タマスタ筑後を取り囲む“筑後七国地域”に焦点をあて盛り上げていく。入場者全員への「筑後七国柄ひな丸Tシャツ」配布や、その他にも筑後七国地域の魅力を感じられるイベントが行われる予定だ。

 8月19日(土)・20日(日)・26日(土)・27日(日)の4日程ではファームの夏の祭典「若鷹夏祭り」を開催。各日、入場者全員へ「若鷹夏祭り 特製グッズ(全4種)」を配布し、さらに球場前広場にはやぐら、縁日ブースが登場。祭り気分も最高潮となること間違いなしだ。

文=田尻耕太郎 写真=田尻耕太郎、福岡ソフトバンクホークス、BBM
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