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都市対抗2023

【都市対抗2023】値千金の先制ソロが決勝打 元オリックス、中日の三菱重工East・武田健吾が放った「理想の一本」

 

修正した打撃フォーム


三菱重工East・武田は自由ケ丘高出身。NPB2球団を経て、22年から社会人野球界でプレーしている[写真=BBM]


 第94回都市対抗野球大会は東京ドームで熱戦が展開されている。7月25日の決勝まで、栄光の黒獅子旗をかけた戦いをリポートする。

 大会6日目の第2試合は三菱重工East(横浜市)とNTT西日本(大阪市)が対戦。どちらも西関東と近畿の第1代表として東京ドームへ勝ち進んできた強豪同士による1回戦屈指の好カードとなったが、勝負を決めたのは元NPB選手による一発だった。

「社会人野球は楽しいです」と笑顔を見せたのは三菱重工East・武田健吾(自由ケ丘高)。武田は2013年ドラフト4位でオリックス入団。19年途中からは中日でプレーし、NPB通算404試合に出場。21年オフに戦力外通告を受け、22年からは三菱重工Eastでプレーしている。

 社会人野球は2年目となるが「一番大きな大会の都市対抗はトーナメントですから楽しいですね。負けたら終わり。だから、みんなが全力でボールを追うし、自然とヘッドスライディングが出てしまう。もちろんプロだって、負けていい試合はないんですけれど、一球の大事さにより重みを感じます」と語っている。

 昨年の都市対抗はENEOS(横浜市)の補強選手として全5試合に出場し、勝負強い打撃で黒獅子旗奪取に貢献。実はちょうどそのころから打撃フォームを修正しており「それまでは頭が突っ込んで手打ちになっていたので、タイミングをゆっくり取りボールを引きつけて打つようにしました」と新しい取り組みがはまった形だ。

 チームを率いる佐伯功監督(東北福祉大)は「一発が欲しい場面で打てる力を持っていますし、野球への向き合い方や周囲との付き合い方が素晴らしい。選手のかがみで、チームにプラスのことをたくさん運んでくれています」と、その人間性も高く評価している。

配球を読み切った一打


 NTT西日本との1回戦では、1対1で迎えた6回裏。甘いスライダーを捉えた打球はレフトスタンドへ飛び込む価千金のソロアーチとなった。

「ストレートが3球続いていたので『次はスライダーかな』と頭にありました。それでタイミングを少し変えて待っていたのですが、しっかりと一球で仕留めることができました」

 この一本は配球を読み切っただけでなく、昨年から取り組んでいるバッティングにおいて「ポイントを近くにして打つことができた理想の一本」だったという。

 試合はこのアーチが決勝打となり三菱重工Eastが2対1でNTT西日本を下した。NPB時代は守備固めで起用されることが多かった武田だが「プロではこういう活躍がなかなかなかったのでうれしい。バッティングも大好きなので」と笑った。そして、昨年は自チームで出場することができず「悔しかった。今年は会社に恩返しがしたいです」と話しており、今季は三菱のスリーダイヤがあしらわれたユニフォームで、栄光の黒獅子旗を目指す。

取材・文=大平明
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