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つじのじつ話

埼玉西武ライオンズ前監督・辻発彦氏が、あの『劇団獅子』を語る!/辻発彦氏自著『つじのじつ話』チョイ出し企画

 

きっかけは僕です


『つじのじつ話』


 ベースボール・マガジン社から前埼玉西武ライオンズ監督、辻発彦氏著の『つじのじつ話』が発売された。

 サインお渡し会も東京では三省堂有楽町店さん、ジュンク堂池袋店といずれもびっくりするくらいの大盛況! 8月6日には福岡の丸善博多店さんでも開催予定だ。

 ジュンク堂さんでは、西武のチーム状況について「大丈夫ですか?」と聞くお客さんも多かったが、そのたび、辻さんが強調していたのが「これからはライオンズの季節だから大丈夫! 応援してください!」だった。

 では以下チョイ出しです。


『劇団獅子』も楽しかった。

 試合前、僕がスタジアムDJに紹介され、ベンチで帽子を取って頭を下げる際のパフォーマンスが、いつの間にかそう名付けられていました。

 僕が特別なことをしていたわけではありません。基本的には帽子を取ってお辞儀をしていただけです。

 2023年から北海道日本ハムファイターズに移籍している山田遥楓が中心だったのですが、僕の後ろから顔を出したり、EXILEのダンスをしたり、僕の名前入りの応援タオルを掲げたりする。

 時々、山田がネタに苦しんで相談してきて、ダメ出しをしたこともありましたが、頑張って工夫していました。

 何を隠そう、劇団結成のきっかけは僕です。控えが多かった山田と柘植世那山野辺翔の3人が、それ以前から盛んに『使ってくださいアピール』をしてきて、僕の名前が呼ばれるとき、帽子を取り「監督、よろしくお願いします!」と頭を下げていました。

「だったら近くに来て、一緒にやろう!」と声を掛けたことが始まりです。

 一番覚えているのは、山田がスプレーを噴射させて、僕の顔を隠したときです。思わず、頭をパシッとたたいてしまいましたが、怒ったわけでもなく、「よくまあ、こんな面白いことを思いついたな」と感心しながらです。

 2022年10月2日、本拠地・ベルーナドームのペナントレース最終戦、つまり僕にとって最後の『劇団獅子』は、コーチ全員にお願いし、みんなで集まって一緒に帽子を取ってあいさつをしました。

 まだ退任が正式に決まっていたわけじゃないですし、クライマックスシリーズに勝てばベルーナドームに戻ってくる可能性もありましたが、節目だと思ったからです。

 山田が二軍にいたこともあり、『劇団獅子』は“長期休演中”だったのですが、息子に「最後なんだから、松井稼頭央ヘッドコーチと平石洋介コーチに頼んでやってもらったら」と言われ、「せっかくなら」とコーチみんなに頼みました。

 あとで映像を見ましたが、コーチもみんないい笑顔でした。

 あのときの温かい拍手は、今も忘れられません。
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