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今季未勝利も…巨人の153キロ左腕に、他球団から「戸郷翔征、山崎伊織に匹敵する能力」の評価が

 

潜在能力が高い左腕


最速153キロを誇るなど力のあるストレートが武器の井上


 首位・広島と7.5ゲーム差。逆転優勝を狙う巨人は、先発ローテーションの軸になる投手が1人でも多く出てきてほしい。その有力候補として期待されるのが、最速153キロを誇るプロ4年目左腕の井上温大だ。

 佐々木朗希(ロッテ)、宮城大弥(オリックス)、奥川恭伸(ヤクルト)、西純矢(阪神)と同世代の22歳。入団後に左肘を手術して昨年7月に支配下復帰した。9月23日の中日戦(バンテリン)で6回3失点と粘り、プロ初勝利をマーク。7試合で1勝1敗、防御率6.00と安定していたとは言えないが、24回で27三振を奪った。球威十分の直球はロマンを抱かせる。11月に侍ジャパンとの強化試合に登板した際も3回4奪三振無失点の好投で強烈にアピールした。

 今年は春季キャンプで一軍スタートだったが、2月に左肘の違和感でリハビリ組へ。コンディションを整え、6月23日の広島戦(マツダ広島)で今季初先発も4回2失点で降板。7月15日のヤクルト戦(神宮)は自身の自己最速を更新する153キロを計測したが、4回2失点で今季初黒星を喫した。

 他球団のスコアラーは、井上についてこう分析する。

「きれいなフォームから繰り出す直球は球速以上の速さを感じる。杉内俊哉(現巨人三軍投手チーフコーチ)を彷彿とさせますよね。変化球の精度を磨いて、投げるスタミナをつければイニング数が増えて、勝ち星も重ねられるでしょう。足りないのは場数です。投手として秘めている能力は戸郷翔征山崎伊織と引けを取らないと思います」

「すべてを野球につなげる」


 井上も自身の課題を直視している。今年1月の自主トレでは同じ左腕のDeNA今永昇太に弟子入りしてチェンジアップを教わった。球界を代表する左腕と時間を共有することで得られることは多かった。今年2月に週刊ベースボールのインタビューで、今永との自主トレについてこう振り返っている。
 
中川皓太さんが侍ジャパンで今永さんと一緒だったので、皓太さんにお願いをして連絡をとらせていただき、一緒にやらせていただくことができました。プロに入る前から左ピッチャーと言えば今永さんというくらい、あこがれの選手でしたし、今永さんのようなストレートを投げたいと思っていて。一緒に自主トレがしたいと思って、お願いさせていただきました」

「すべてを野球につなげるということですね。練習はもちろんですが、食事だったり、ケアの仕方だったり。すべてのことにこだわっているなと感じました。だから自分もこだわっていくというか、今はすべてにおいて取り組んでいるところですね。やっぱり1年間投げ抜くためには、体のケアなどもしっかりしなければいけないと思うので。そういう部分を学ぶことができたのは大きかったなと思います。今永さんのチェンジアップの握りは、今まで自分では教わったことのない握りでした。握りだけではなく、投げ方のコツというのも教えてもらって。それが自分にすごく合っていたので、今もそれを続けさせてもらっています」

身近にいる良きお手本


7月27日の阪神戦[甲子園]で9勝目をマークした戸郷[右。左は秋広優人]


 身近にも良きお手本がいる。エースの戸郷翔征はWBCでリリーバーとして侍ジャパンの世界一に貢献すると、シーズンに入っても先発で安定した投球を続けている。15試合登板で9勝2敗、防御率2.55。昨年最多奪三振を獲得した右腕は最多勝、最優秀防御率を狙える位置につけている。

 また、山崎伊織も「勝てる投手」にレベルアップしている。多彩な変化球を操って打者を翻弄し、フィールディング能力も高い。13試合登板で7勝2敗、防御率2.71。プロ2年目の昨年の5勝を超え、2ケタ勝利も通過点に過ぎない。戸郷、山崎に次ぐ先発の軸として井上も一本立ちできるか。逆転優勝のカギを握る存在になりそうだ。

写真=BBM
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