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大活躍の村上頌樹と秋広優人 新人王の記者投票は「大接戦になる」の予測が

 

先発ローテの軸に


先発として安定したピッチングを続ける村上


 パ・リーグは高卒3年目で先発ローテーションの柱として活躍しているオリックス山下舜平大が新人王の最有力候補と目されている。一方、セ・リーグは最後まで目が離せない展開になりそうだ。熾烈な争いを繰り広げているのが、阪神村上頌樹巨人秋広優人だ。

 両球団のファンもここまでの活躍を想像できなかっただろう。大卒3年目右腕の村上は当初先発ローテーションの枠に入っていなかったが、今季初先発となった4月12日の巨人戦(東京ドーム)で7回まで走者を1人も出さない完全投球で衝撃を与える。この投球がフロックでないことをその後も証明した。次回登板の同月22日の中日戦(バンテリン)で2安打しか許さず、10奪三振でプロ初勝利をプロ初完封で飾った。

 3、4月は5試合登板で2勝1敗、防御率0.28で月間MVPを受賞。その後も先発ローテーションできっちり試合を作っている。7月28日の首位攻防戦・広島戦(甲子園)で、プロ初のマルチ安打と打撃で好機を演出。本職の投球でも7回5安打2失点チームトップの7勝目をマーク。防御率2.01と抜群の安定感で、首位を走る阪神の大黒柱になっている。

開花したバッティング


広角に打つバッティングでクリーンアップに座る秋広


 一方、秋広も高卒3年目で目を見張る成長曲線を描いている。4月中旬に一軍昇格すると、広角に安打を量産。身長2メートルの長身から並外れた飛距離でスラッガーのイメージが強いが、コンタクト能力が高く追い込まれてもヒットゾーンに飛ばす。外野のレギュラーをつかむと、5月下旬以降は三番に定着。相手バッテリーのマークが厳しくなるが、対応力の高さを見せている。7月16日のヤクルト戦(神宮)から4試合連続アーチ。高卒3年目以内で4試合連発弾は球団史上初の快挙だった。

 7月28日の中日戦(東京ドーム)から打順が五番に。四番・岡本和真の後を託されたことが、首脳陣の信頼の高さを物語っている。30日の同戦で0対0の8回一死二、三塁の好機に、清水昇のフォークを右手一本で右前に運ぶ決勝打。チームを4連勝に導いた。76試合出場で打率.285、10本塁打、34打点。打席内容を見ると、数字以上に活躍している印象が強い。

 球界を代表するスラッガーとして活躍した松井秀喜氏(現ヤンキースGM特別アドバイザー)が着けていた背番号「55」を継承する。秋広はその重圧をエネルギーに変える志を持っている。今年6月に週刊ベースボールのインタビューで、「やっぱりジャイアンツの55番なので、偉大な番号ですし、もちろん軽い番号ではありません。そういうところで注目してもらえることも多いですし、だからこそ『55番を背負わせてよかった』と思われるくらい選手にならないといけない。そういう思いでこれからもやっていきたいです」と語っていた。

2021年は栗林に軍配


 新人王に選ばれるのは村上か秋広か。

 スポーツ紙記者は、「新人王は記者投票なので残した成績だけでなく、活躍のインパクトも大きく影響します。今年は春先の活躍で村上が有利とみられていたが、夏場に入って秋広が強烈な輝きを放っている。どちらの球団が優勝するかでも投票に影響すると思います。大接戦になる可能性が高いのではないか」と予測する。

 新人の豊作年だった2021年は、広島の守護神・栗林良吏が、53試合で0勝1敗37セーブ、防御率0.86をマーク。DeNA牧秀悟は打率.314、22本塁打、71打点の好成績を残し、新人王の行方が注目されたが、栗林が201票、牧が76票と大差がつく意外な結果となった。栗林は同年に開催された東京五輪で侍ジャパンの守護神として金メダル獲得に大きく貢献している。ペナントレースと切り離して判断すべきかもしれないが、日の丸を背負っての快投が、投票結果に影響したとみられる。

 高卒と大卒の違いはあるが、秋広と村上は同期入団で共にドラフト5位という共通点がある。「伝統の一戦」で新人王に輝くのは――。

写真=BBM
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