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阪神・佐藤輝明が打率.226も復調の予感 他球団から「打ち方変わった」と警戒が

 

チームの命運を握る左打者


まだ潜在能力を完全に開花させていると言えない。佐藤輝の打撃はもっと上昇気流を描くはずだ


 混戦のセ・リーグで、首位・阪神のキーマンとなるのが佐藤輝明だ。

 8月3日の中日戦(バンテリン)で0対0の3回二死一、二塁にドラ1右腕・仲地礼亜の146キロツーシームを右前に運ぶ先制の適時打。阪神入団3年目で現役時代に199打点をマークした岡田彰布現監督を超え、球団史上初の200打点に到達した。6日のDeNA戦(横浜)では、1点リードの6回二死一、三塁で左中間に2点適時二塁打を放ち、4連勝に貢献した。

 今季は打撃の状態が上がらず、6月25日に登録抹消。2年ぶりのファーム降格で自分自身を見つめ直した。7月5日に再昇格以降もしばらく快音が聞かれなかったが、岡田監督は「五番・三塁」で我慢強く起用し続けた。潜在能力の高さは誰もが認める。

 野球評論家の伊原春樹氏は7月に週刊ベースボールのコラムで、こう綴っている。

「打撃陣の中でも、特にチームの命運を握っているのは佐藤輝明だ。今季は球団史上3人目となる新人から3年連続2ケタ本塁打を達成したが、打率.216、10本塁打、43打点は物足りない数字だ。得点圏打率もわずかに.211。速球に差し込まれたり、内角や外角へ逃げるボールへの対応など課題は多いが1年目から24本塁打、20本塁打をマークするなどポテンシャルは高い。岡田彰布監督も一時、二軍落ちを命じるなどバッティング向上へ何とか奮起を促している。四番・大山悠輔のあとを打つことが多い佐藤輝が力を発揮すれば得点力がグッと上がるのは間違いない」

7月中旬以降に状態アップ


 与えられたチャンスを生かさなければ、レギュラーを確約されない立場になっている。佐藤輝も危機感は当然持っているだろう。7月中旬以降になると状態を上げてきた。7月26日の巨人戦(甲子園)で1点差を追いかける7回一死一、二塁の好機に、変則左腕・高梨雄平の直球を逆方向の左前にはじき返す同点適時打。高梨とは過去の対戦で7打数無安打4三振と苦手にしていたが、殊勲打で逆転勝利につなげた。

 8月1日の中日戦(バンテリン)でも特大のアーチ。7回一死一、二塁で田島慎二のスライダーをバックスクリーンに13号3ランをライナーで突き刺した。こんな打球を飛ばす和製大砲は数少ない。88試合出場で打率.226、13本塁打、54打点という成績は満足できるものではない。

ドラフト同期の活躍


 他球団のスコアラーは、「佐藤のスイングが変わった」と警戒を強める。

「春先からミートポイントが一定でなく、打ち方に迷いが見られたが最近は自分の力が伝わるポイントできっちりさばけている。長距離砲としての資質は岡本和真(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)に引けを取らない。確実性を高めればすごい打者になる」

 ドラフト1位で4球団が競合した逸材は、阪神の未来を背負う使命がある。同期入団のチームメートたちの活躍も刺激になるだろう。2位の伊藤将司は抜群の安定感で左腕エースなり、6位の中野拓夢は3月の侍ジャパンのメンバーに選出されてWBC世界一に貢献。二塁にコンバートされたチームでも再三の好守を見せ、打撃も打率.294、12盗塁と攻守で不可欠な存在になっている。

 さらに、昨年まで未勝利だった5位の村上頌樹も7勝5敗1ホールド、防御率2.07と先発ローテーションに定着。8位の石井大智も体調不良により「特例2023」の対象選手として7月22日に登録抹消されたが、1勝9ホールド、防御率1.09とセットアッパーで好成績を残している。

 過去2年間は8月以降に打撃が下降線をたどっていた。強打者は暑い夏場で結果を残す。佐藤輝の真価が問われるのはここからだ。

写真=BBM
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