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小宮山悟監督は「早稲田のすごさを感じる1日でした」 新潟で「全早稲田戦」が開催された意義とは?

 

詰めかけた多くの観衆


「全早稲田戦」が8月12日、新潟・南魚沼市の大原運動公園ベーマガSTADIUMで行われた[写真=矢野寿明]


 早大の現役学生と、OB現役社会人で編成する「稲門倶楽部」が対決する「全早稲田戦」(主催:早稲田大学野球部、新潟県南魚沼市、後援:稲門倶楽部、(株)ベースボール・マガジン社)が8月12日、新潟・南魚沼市の大原運動公園ベーマガSTADIUMで開催された。

 社会人チームは今夏、7年ぶりに都市対抗を制したトヨタ自動車のほか、北海道ガス、Honda、鷺宮製作所、JR東日本、東京ガス、日本通運、明治安田生命、ENEOS、日本生命、Honda熊本から監督、コーチ、マネジャー、選手の総勢31人が参加した。

稲門倶楽部の先発・佐竹[トヨタ自動車]は1回無失点に抑えた[写真=矢野寿明]


 早大は8月6日から同市でキャンプを張っており、野手はベストメンバーで臨んだ。稲門倶楽部は39歳のベテラン右腕・佐竹功年が先発し、1回を打者3人で抑えた。この1イニング限定でトヨタ自動車・細山田武史コーチがマスクをかぶり、息の合ったコンビを披露している。2回以降も5投手が持ち味を発揮。佐竹とともに侍ジャパン社会人代表としてアジア競技大会に出場するENEOS・丸山壮史が3ランを放つなど、計23安打を放った稲門倶楽部が21対2で勝利し、社会人の実力の高さを見せつけている。

 早大は先発の1年生・越井颯一郎(木更津総合高)が3回1安打1失点の力投を見せると、二番手の右腕・鹿田泰生(3年・早実)は1回無失点も、5回以降の救援陣が粘れなかった。打線は途中出場の岡西佑弥(1年・智弁和歌山高)が右越えソロ本塁打と、内野ゴロの間に1点をかえすのがやっとだった。

 この日は地元のファン、球界関係者、早大野球部OBなど多くの観衆が詰めかけた。内野スタンドでは早稲田大学応援部による応援が繰り広げられ、キレのある動きを見せるリーダー、吹奏楽団による迫力のある演奏、華やかなチアリーダーズと、神宮球場さながらの熱狂の中で行われた。球場外にはキッチンカーが出店し、隣接する多目的グラウンドではストラックアウト、ラプソードの計測、縁日コーナーとお祭りムード一色だった。

「素晴らしい1日でした」


 下記は早大と稲門倶楽部のコメントである。

早大・小宮山悟監督
「北海道から九州まで大学、母校野球部のために足を運んでもらい、感極まる思いでした。自チーム(の活動)があるにもかかわらず、各会社が快く送り込んでいただき、感激です。あらためて、早稲田のすごさを感じる1日でした。結果については、力の差が歴然。仮にクロスゲームをして、彼らが勘違いするよりも、私たちとしては収穫が多かったです。社会人選手はシビアな都市対抗予選で結果を残すため、死に物狂いで練習している。どれだけ自分の能力を高められるか。『自分で自分の戦いに勝ちなさい』と。妥協をせずに、自分を追い込めることができるかが課題です。来年も南魚沼でお世話になるつもりです。われわれとしては、この環境で野球をしたい。(全早稲田戦については)今回、来られなかったOBが参加選手からの口伝で『来年は参加しよう!』という機運になることを願います」

早大・森田朝陽主将(4年・高岡商高)
「点差的には、見にきていただいたファンの方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。今後のあり方を考えるきっかけとなりました。社会人選手は1球で仕留めますし、人生、生活がかかっている、1球への執念を感じました。あこがれの先輩と試合をし、学ぶことが多く、素晴らしい1日だったと思います。応援してくださる方のためにも、秋は恥ずかしくない試合をお見せできるようにしたいです」

2020年に都市対抗優勝に導いたHonda・開田監督が稲門倶楽部を監督として率い、「全早稲田戦」の開催意義について語った[写真=矢野寿明]


稲門倶楽部・開田成幸監督(Honda監督)
「社会人の選手が誇りとプライドを持って1試合を通して戦ってくれた結果が、この点差になりました。試合前にも何か一つ、学生たちに伝わるプレーが見せられれば、と言ってきました。良いメッセージになったと思います。今日の試合で出た課題をつぶして、チーム一丸となって9月の開幕を迎えてほしい。社会人になってOBで集まる機会が少ない中で、こういった時間を設けていただき、関係者の方々のご尽力に感謝いたします」

稲門倶楽部・佐竹功年(トヨタ自働車)
「早稲田の応援を聞きながらマウンドに立つのは初めての経験でしたので、新鮮でした。ストライクが入ったので良かったです(苦笑)。貫録の投球? とんでもない。ギリギリです(笑)。点差ほどの実力の差はないと思います。球際の強さ、四球が大量失点につながる。開幕まで1カ月、細かい部分にこだわって、1カ月後の開幕に仕上げていってほしいと思います。私にとって、原点は大学野球。早稲田でプレーしていた18年前を思い出し、初心に立ち返ることができました。学生からパワーをもらい、早稲田のOBからも刺激をもらいました。過去にENEOSさんは社会人二大大会(夏の都市対抗、秋の日本選手権)で夏秋夏の3連覇を遂げていますが、秋夏秋はないので、そこを狙っていきます」

文=岡本朋祐
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