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今季一軍登板なし…プロ5年目の中日・根尾昂に「他球団の評価」は

 

ウエスタンで4試合連続QS


ウエスタンで先発として経験を積んでいる根尾


 最下位に低迷する中日は得点力不足が大きな課題だが、投手陣も盤石とは言えない。

 先発ローテーションが確定しているのは小笠原慎之介柳裕也高橋宏斗の3枚のみ。沢村賞や2年連続最優秀防御率を獲得した実績を持つ大野雄大は4月に左肘の遊離軟骨除去手術を受け、実戦復帰を目指してリハビリに打ち込んでいる。楽天からトレードで獲得した涌井秀章は開幕から先発ローテで回っていたが、7月に打ち込まれる登板が続いて29日に登録抹消された。

 苦しい台所事情だが、ファームで一軍昇格を狙っている投手にとってはチャンスだ。一軍のマウンドで勇姿を見たい。中日ファンの注目度が高い投手がプロ5年目の根尾昂だ。

 大阪桐蔭高のときに投打の二刀流で活躍したが、プロでは遊撃一本で勝負することを決断した。だが、攻守で試行錯誤が続くと、昨年から就任した立浪和義監督は「投手・根尾」の可能性を高く評価。交流戦終了後の6月中旬に、投手登録に変更した。25試合の救援登板で0勝0敗1ホールド、防御率3.41をマーク。今季は投球フォームのバランスを崩して開幕からファーム暮らしだったが、7月以降は調子を上げてウエスタン・リーグで4試合連続クオリティースタート(6回以上投げて自責3以下)と安定した投球を見せていた。8月2日の阪神戦(バンテリン)は初回に野口恭佑に先制2ランを浴びるなど、6回途中6失点と結果を残せなかったが、悲観する内容ではなかった。

真っすぐで勝負できるように


 ファームで対戦した他球団の首脳陣は、「春先に比べて制球もまとまり、スライダー、スプリットを操れているようになっている。まだまだ投球の精度を突き詰める必要はありますが、先発で100球以上投げているのでスタミナもついてきている。まだ23歳でしょ? 昨年から投手で投げ始めたことを考えると、能力が高い選手だなと感じますよ。直球も150キロ以上出るし、一軍で登板する日もそう遠くないんじゃないですかね」と評する。

 根尾は6月に週刊ベースボールの取材で、こう語っている。

「ウエスタン・リーグで自分のいいボールを求めてやっています。真っすぐが基本になりますから、どんな変化球を身に付けるかも大事ですけど、真っすぐでより勝負できるように取り組んでいます。どんな真っすぐなのか。理想型を挙げるとしたら、阪神・村上頌樹投手はその一人です。まだ投手に転向する前、野手として二軍で対戦したとき、僕は打席に立っていました。ラインが出ていて、スピードガンの表示よりも速く感じました。ややスライドして左打者に食い込む『真っスラ』でした。自分の真っすぐを求めながら、一軍登板を目指しています」

良きお手本となる阪神の右腕


 村上は大卒3年目の今季大ブレーク。16試合登板で7勝5敗1ホールド、防御率2.02と首位を快走する阪神の大黒柱として輝きを放っている。直球は球速145キロ前後と決して速くないが、手元で伸びる球質で打者を差し込む。カットボール、ツーシーム、フォーク、スローカーブと変化球の精度も高く、投げミスが少ない。

 根尾は大阪桐蔭で甲子園に4度出場し、2年春、3年春、3年夏と全国制覇を3度達成したが、村上も智弁学園で甲子園に3度出場。3年春の甲子園で全5試合を1人で投げ抜き、防御率0.38で同校初の全国優勝に導いている。高校時代に頂点に立った共通点を持つ村上の投球スタイルは良きお手本になるだろう。

 球団の垣根を超えて根尾を応援する野球ファンは多い。スター性十分の右腕は最下位に低迷する中日の起爆剤になれるか。

写真=BBM
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