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大阪桐蔭で3番手投手も…巨人の5年目左腕は「エースになれる素材」

 

大きな可能性を秘めた左腕


多彩な変化球を小気味良く投げ込むピッチングが持ち味だ


 巨人は左腕エースが久しく出ていない。内海哲也(現西武ファーム投手コーチ)が2000年代後半から10年代中盤まで大黒柱として投手陣を引っ張っていたが、左腕エースの後継者として期待された田口麗斗をトレードでヤクルトに放出し、頭角を現したかに見えた高橋優貴も伸び悩んでいる。

 その中で、内海を彷彿とさせる投球スタイルで大きな可能性を秘めた左腕が、横川凱だ。身長190センチの長身から140キロ台中盤の直球、スライダー、カーブ、フォーク、カットボールと多彩な変化球を小気味良く投げ込む。昨オフに2度目の育成契約となったが、今年3月に支配下に復帰。先発でチャンスを与えられ、4月23日のヤクルト戦(神宮)でプロ初勝利をマークした。

 プロの世界は甘くない。その後は相手打線が2巡目につかまるケースが少なくなかった。今月4日の広島戦(マツダ広島)では4回まで2失点にしのいだが、1点リードの5回二死満塁の攻撃で代打を送られ、悔しさから三塁ベンチで手袋をたたきつけた。長いイニングを投げる信頼を勝ち取るためには、結果で証明するしかない。次回登板となった11日のDeNA戦(東京ドーム)では、自身最多の114球を投げ、8回3安打1失点の力投。抑えの中川皓太が9回に逆転を許したため、5勝目が消えたがプロ入り最高の投球を見せた。

同学年のライバルたち


4月23日のヤクルト戦でプロ初勝利をマークした


「大阪桐蔭最強世代」の1人だが、高校時代は主役だったわけではない。同級生の根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)、柿木蓮(現日本ハム)らと共に2年春、3年春、3年夏と全国制覇を飾ったが、横川は根尾、柿木に次ぐ3番手投手だった。根尾は4球団、藤原は3球団がドラフト1位指名で競合。横川は巨人に4位、柿木は日本ハムに5位で指名された。同一高校から同時に4人がドラフト指名されたのは、01年の日大三高以来17年ぶり5校目だった。

 この世代のトップランカーはドラフト6位で巨人に入団した戸郷翔征だ。昨年は自己最多の12勝をマークし、最多奪三振のタイトルを獲得。今季もリーグトップの10勝を挙げ、エースの座を築いている。

 横川は昨年9月に週刊ベースボールのインタビューで、「もちろん、すごく刺激になります。寮にみんなで見ることができるテレビがあって、ちょうど夕食を食べる時間にナイターが放送しているので。ご飯を食べながら、同級生であったり同世代の選手たちがヒーローインタビューで話している姿を見ると、僕もいつか、いや、いつかではなく早く、絶対あそこに立ちたいという思いが強くなりますね」と闘志を燃やしていた。

ダルビッシュを目標に


 目標とする選手を聞かれると、「ダルビッシュ有選手(パドレス)です。もちろん真っすぐは速いですし、そこは僕と違う点なんですけど、いろいろな球種を駆使しながらメジャーのトップクラスのバッターたちを翻ろうしていく姿というのは、すごく目標になります」と目を輝かせていた。

 大阪桐蔭で切磋琢磨した仲間たちは、思い描いた活躍ができていない。昨年のシーズン途中に野手から投手に転向した根尾は今季一軍登板なし。藤原も春先は打率3割を軽く超えるハイアベレージでリードオフマンを務めていたが、6月以降は2カ月連続で月間打率1割台と下降気味になっている。昨オフに育成契約で再スタートを切った柿木もイースタン・リーグで27試合に登板し、3勝1敗3セーブ、防御率2.34と好結果を残したが支配下復帰は叶わなかった。

 スポーツ紙記者は「高校時代に活躍したから、プロでも順調にいくほど甘い世界ではない。横川は大阪桐蔭で根尾の陰に隠れていましたが、投手としての能力は決して負けていない。左腕エースになれる素材です。2人が一軍の舞台で投げ合う姿を見たいですね」と期待を込める。

 首位・阪神を追いかける巨人は負けられない試合が続く。横川は先発ローテーションの一角に食い込めるか。

写真=BBM
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