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第2の石川慎吾? 巨人のスピードスターに他球団「野球センスはピカ一」の高評価が

 

ロッテで高打率をマーク


ロッテで好調な打撃を披露している石川慎


 環境は人を変える。トレードで輝きを取り戻した選手の代表格が、巨人から今季途中にトレード移籍したロッテ・石川慎吾だろう。

 プロ12年目の今季はイースタン・リーグで、47試合に出場して打率.358、4本塁打の好成績をマーク。だが、外野陣の層が厚いチーム事情があり、一軍で出場機会がなかった。小沼健太とのトレードで7月3日にロッテに移籍したことが大きな転機に。パンチ力に定評がある打撃を評価され、翌4日から一軍に合流する。そして、すぐに結果を出した。8日の日本ハム戦(エスコンF)で、同点の7回二死一、三塁の好機に代打で登場すると、かつてのチームメートだった宮西尚生の直球を中前にはじき返す決勝適時打。その後も打席に立つと打ち出の小槌のように、安打を打ち続けた。

 同月29日のソフトバンク戦(PayPayドーム)では4回に左腕・大関友久のスライダーを左翼席に運ぶ移籍後初本塁打。一軍でのアーチは2020年以来3年ぶりだった。代打の切り札だけでなく、クリーンアップでスタメン起用されるなど吉井理人監督の信頼は厚い。「五番・左翼」でスタメン出場した8月24日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)では、同点の7回に決勝の右前適時打を放った。現在24試合出場で打率.393、1本塁打、5打点をマーク。得点圏打率.600と抜群の勝負強さを誇る。

球団初の育成出身で規定打席到達


今季は一軍で数少ないチャンスを生かせていない松原


 他球団の編成担当は、「石川慎の活躍に驚きはないですね。ファームでバットが振れていたし、一軍でも打力は十分に通用する。左投手に強いし、重宝されるでしょう。ファームでくすぶっている選手でも能力は高い選手がいる。巨人で言えば、松原聖弥でしょう。野球センスはピカ一です。俊足を生かした外野の広い守備範囲は球界トップクラスだし、打力もミート能力が高く、パンチ力を兼ね備えている。ただ、近年は打撃で結果が出ないこともあり、打席に立つと結果を求めてスイングが小さくなっているように感じる」と指摘する。

 育成入団から支配下登録され、外野のレギュラーへ。かつて、松原はスターの階段を駆け上がっていた。20年のシーズン途中に右翼の定位置をつかみ、86試合で打率.263、3本塁打、19打点、12盗塁をマーク。翌21年は135試合で打率.274、12本塁打、37打点、15盗塁といずれも自己最高の数字を更新し、育成出身で球団初の規定打席に到達した。同年オフに前年度まで亀井善行(現巨人一軍打撃コーチ)が着けていた背番号9に変更。「チームの顔」として期待された。

さらなる高みを目指すも……


 慢心があったわけではない。松原は昨年3月に週刊ベースボールのインタビューで、「全然、物足りないですね。シーズン中から思っていたことですが、納得いく数字は一つもないと思います。盗塁(15盗塁)もヒット(118安打)も出塁率(.333)も、得点圏打率(.179)も。数字で見ると全部ですね」、「練習では自分の中で苦しい打ち方をするようにしています。フリー打撃で自由に振り回せば見映えはいいし、打っている本人も気持ちがいい。実際、昨年や一昨年というのはそういう感じで自分もやっていましたが、試合の中でそのように打てることなんてほとんどない。だから練習ではあえて苦しい打ち方で逆方向に、ということを意識しています」と語っていた。

 さらなる高みを目指したが、大きな試練を味わう。昨年は50試合出場で打率.113、0本塁打、4打点、2盗塁。打撃で試行錯誤し、輝きを失った。背番号「9」はわずか1年で剥奪され、支配下昇格した18年7月に着けていた「59」に変更。再スタートを切った今季だが、3度の登録抹消を経験するなど一軍に定着できない。21試合出場で12打数0安打、打率.000。外野陣は秋広優人、高卒ドラフト1位ルーキー・浅野翔吾ら若手が台頭してきたことで、松原はさらに苦しい立場に追い込まれている。

 一軍で再びチャンスをつかむためには、ファームで結果を残し続けるしかない。スピードスターはよみがえるか。

写真=BBM
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