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【U-18W杯】悲願の世界一へ向けたキーマン 複数ポジションをこなせる“投打二刀流”武田陸玖

 

合宿では馬淵監督から「MVP」


山形中央高・武田は「六番・DH」で先発出場。持ち前のシュアな打撃で結果を残した


 第31回WBSC U-18ベースボールワールドカップ(台湾、8月31日開幕)に出場する侍ジャパンU-18代表(高校日本代表)が8月26日、東京都内のグラウンドで大学生と練習試合を行い、2対4で敗退した(7回制)。

 投打の「二刀流」で躍動したのが山形中央高の左腕・武田陸玖(3年)である。「六番・DH」で先発出場すると3打数1安打1打点。7回表からは四番手としてマウンドに上がり、1回を無失点に抑えた。8回表はタイブレーク(無死一、二塁からの継続打順)の練習で3失点を喫したが、その裏は、二死一、三塁から自ら中前適時打を放った。大会本番を前にして、貴重な経験となった。

 最速147キロ。高校通算31本塁打。今夏は山形大会決勝で敗退し、自身初の甲子園出場はならなかった。4月上旬には高校日本代表候補合宿(36人)に3日間参加。投手、野手でセンスを見せ、チームを率いる馬淵史郎監督(明徳義塾高監督)から「MVP」の評価を受け、今回の代表入りが有力視されていた。

 武田も「いつ呼んでいただいてもいいように準備していました」と、メンバー選出を想定し、山形大会決勝敗退後も調整を進めてきた。

 この日は「DH」から「投手」という初めての流れだったが、違和感なくプレーできた。「とてもやりがいを感じている。投手と野手? どちらも好きなので、選べません」と、常にグラウンドに立つことに充実感がある。

7回表から救援して1回無失点。この日は最速144キロで、キレのあるボールを披露した


 ネット裏で視察した日本ハム山田正雄スカウト顧問は「初めて見ましたが投手、打者、両方とも良いですね。打撃はミート力があり、投手としてもセンスを感じる」と高評価。

 高校卒業後の進路については、こう語る。

「この大会を終え、山形に戻ってから、監督と相談して決めたいと思います。今はジャパンの一員として勝つことに集中する。世界一を取るために、チームに貢献したいです」

 期待を寄せている馬淵監督のさい配も、見事に的中した。武田は前日の練習試合では三番(左翼)起用も、この日の六番には、明確な意図があった。

「4打席のうちでスコアリングポジションに回ってくるのは、三〜五番が出塁して六番が多い。六番に(安打が)出れば、得点が入る。『引っ張れ、転がせ』よりも、制約のないところで『ヒットを狙っていけ』のほうがいい」

 背番号11。20人という限られたメンバーの中で、複数ポジションをこなせる貴重な存在だ。武田が悲願の世界一へ向けたキーマンの一人であることは間違いない。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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