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今季一軍登板なしの根尾昂 「ファームで鍛錬を積んだほうが良い」の指摘が

 

若手の台頭が目立つ中日


今季はファームで投げ続けている根尾


 最下位に低迷する中日だが、明るい材料は若手の台頭だ。

 昨季最多安打のタイトルを獲得した高卒4年目の岡林勇希は今季もリーグトップの143安打をマーク。2年連続でタイトル獲得の期待がふくらむ。DeNAから現役ドラフトで移籍した細川成也もまだ25歳と若い。新天地で打率.278、19本塁打、69打点とブレーク。和製大砲としてチームを背負って立つ存在になるだろう。石川昂弥は自己最多の12本塁打も能力の高さを考えればまだまだ物足りない。

 投手陣は高卒3年目で侍ジャパンのWBC世界一に貢献した高橋宏斗、高卒6年目でチームトップの23ホールドを記録している清水達也、育成入団で1年目に支配下昇格し、セットアッパーで11ホールドをマークしている松山晋也が大きな可能性を秘めている。

 チームが変革期を迎えていることは、若手が一軍で活躍するチャンスが多いことを意味する。上記に挙げた選手たちを筆頭に大きな期待がかかる中、ファンが気になるのはこの投手だろう。今季一軍登板がない高卒5年目の根尾昂だ。

昨季途中に投手へ転向


 大阪桐蔭高では投打の二刀流で活躍し、ドラフト1位で4球団が競合した逸材はプロ入り後に遊撃で勝負したが結果を残せず、昨季途中に投手に転向した。高校時代から3年以上のブランクがあるにもかかわらず、150キロを超える直球を武器に25試合の救援登板で0勝0敗1ホールド、防御率3.41をマーク。野球評論家の荒木大輔氏は、以下のように分析していた。

「まだ高卒4年目ですから、もう少し野手で勝負してもいいのではないかと思いますが、ピッチングを見ていると、センスは十分に感じます。ストレートは今季最速153キロをマークし、平均球速は149キロだそうですが、打者としっかり勝負できる強いボールでコントロールも悪くない。投手としての可能性は見受けられます。ただ、やはりそれだけではダメ。スライダーの威力もありますが、そのほかの変化球もしっかり操れるようにならないといけません。そのあたりはもっともっとレベルアップさせていく必要がありますね」

「プロで打者を経験していたことは大きなプラスになると思います。打者心理が分かるわけですから。この場面でこういうことをやられたら嫌だなと自分が感じていたことを、投手としてマウンド上でやっていけばいいわけです。内野手もやっていたので、フィールディングも問題ないでしょう」

投球内容は徐々に良化


 対戦経験が浅い時は投手有利となる側面がある。「投手・根尾」のデータが少ないから抑えられた部分があったのは事実だろう。今年は先発に転向して本格的に勝負するシーズンだったが、春先にフォームのバランスを崩して制球難に。6月下旬からウエスタン・リーグで4試合連続クオリティースタート(6回以上投げて自責3以下)と安定した投球を見せ、8月16日の阪神戦(バンテリン)でも6回2失点の粘投。雨天ノーゲームとなった8月24日の練習試合・日本新薬戦は2回2安打1失点とピリッとしなかったが、春先に比べて投球内容は良くなっている。

 スポーツ紙記者は、「根尾は投手に本格的に転向して1年目です。一軍で登板することを多くのファンが望んでいると思いますが、ファームで鍛錬を積んで投手としての土台を固めることが重要です。リリーフなら150キロを超える直球、スライダーを磨けば通用しますが、一軍の先発で投げるならまだまだ課題が多い。試合で使える変化球を増やして、制球力を磨かなければ通用しない。完成するにはもう少し時間がかかると思います」と語る。

 一軍で勝てる投手へ。根尾がマウンド上で輝く姿をファンは待っている。

写真=BBM
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