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広島・デビッドソンが本塁打量産 「エルドレッドのように大ブレーク」の可能性が

 

球場をどよめかせる一発


8月に9本塁打と一発を量産したデビッドソン


 首位・阪神を6.5ゲーム差で追いかける広島。打線の核になっているのが、本塁打を量産しているマット・デビッドソンだ。

 8月25日からのヤクルト3連戦(マツダ広島)で計3本塁打を放つと、29日の巨人戦(京セラドーム)でも球場をどよめかせる一発が。1点リードの6回、山崎伊織の145キロ直球を左翼スタンド5階席に運ぶ特大の18号ソロを放った。巨人戦は9本塁打、18打点とキラーぶりを発揮。7月まで9本塁打だったが、8月の1か月間で9本塁打と爆発した。9月に入っても好調をキープ。2日の中日戦(マツダ広島)では2回に相手先発・高橋宏斗から先制点の足掛かりとなる左前打を放つと、3回も右中間に適時打で3点目を追加。チームの勝利に大きく貢献した。

 メジャーで54本塁打をマークした実績をひっさげ、ポイントゲッターとして期待された。開幕10試合で4本塁打と幸先良いスタートを切ったが、その後は打率2割前後と状態が上がらず、自慢のアーチも見られなくなった。メジャーでも三振数が多く、粗さが課題だったが、新井貴浩監督は我慢して起用し続けた。デビッドソンも指揮官の期待に応えようと必死だ。7月以降はアジャストできるようになり、8月に本塁打を連発。広島は長距離砲が少ないため、一発を打てる長打力は大きな魅力だ。

 広島を取材するスポーツ紙記者は、「真面目な性格でコーチのアドバイスにも熱心に耳を傾ける。日本で成功したいという思いを強く感じるし、試合を重ねることで日本の野球に適応してきている。大ブレークする可能性は十分にあると思います」と期待を込める。

かつて本塁打王に輝いた助っ人


2016年から18年のリーグ3連覇に貢献したエルドレッド


 デビッドソンと重なるのが、かつて広島で本塁打王を獲得した実績を持つブラッド・エルドレッドだ。2012年のシーズン途中に加入し、13年は右手首骨折や打撃不振などで66試合出場にとどまり、打率.247、13本塁打と不本意な結果に終わったが、当時の野村謙二郎監督が実力を高く評価していたこともあり契約を延長。翌14年は118試合出場で打率.260、37本塁打、104打点で本塁打王を獲得した。169三振はリーグワーストだったが、自身の打撃スタイルを貫いた証しだった。

 16年は95試合出場で打率.294、21本塁打、53打点で25年ぶりのリーグ制覇に貢献。日本シリーズで日本ハムに敗れたが、3試合連続アーチで敢闘賞を受賞。18年までプレーし、来日通算133本塁打をマークした。外国人選手で在籍7年間は球団最長記録だった。日本語が堪能で広島市内の移動にはママチャリを愛用するなど日本の生活にもすっかり溶け込み、ファンに愛された。

指揮官が考える外国人が成功する要素


 新井監督は、野球評論家だった21年に週刊ベースボールのコラムで、「最も印象に残る助っ人外国人」にエルドレッドの名前を挙げている。

「私は外国人選手が日本に来て活躍する要素として、まず3つのことが大切だと考えているのですが、第一が『日本の野球をリスペクトできるかどうか』。2つ目は勤勉になれるか、つまり『日本の野球を学ぼうという姿勢があるかどうか』。そして3つ目、『ハングリー精神を持って挑めるかどうか』。これらが欠けていると、どこか物足りなく感じてしまうんですよね。カントリー(※エルドレッドの愛称)の場合は、私から見て、この3つをパーフェクトに満たしていました。初めて彼のプレーを見たのは対戦相手として(※当時、新井は阪神に在籍)。スイングも豪快ですし、14年にはホームラン王も獲得。パワーあふれる大砲として魅力的な打者であることは間違いなかったのですが、それ以上に彼のプレーで目を引いたのは“全力疾走をするところ”でした」

「基本中の基本とも言える全力プレーですが、簡単なようで難しい。でも、大きな体を揺らしながら全力で駆け抜けるカントリーを見て『いい選手だな』と。それこそ、日本の野球をリスペクトして、しっかりと適応しようとしているのだと感じられました。私がカープに復帰してチームメートになってからは、食事などグラウンドを離れたところでも多くの時間をともにしました。そうした中で彼の内面を知ると、ますます魅力的。やっぱり日本の野球をリスペクトしていましたし、何よりカープというチームを愛してくれているのをすごく感じました」

 デビッドソンも野球にひたむきな姿勢を持っているからこそ、打撃不振の時も新井監督は起用し続けていたのだろう。逆転優勝に向け、9月も本塁打を量産する。

写真=BBM
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