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阪神で木浪聖也の控えも…22歳の大型遊撃手に「球界代表する選手になる」と高評価が

 

遊撃のレギュラーを再奪取


「八番・遊撃」で首位を走るチームに貢献している木浪


 18年ぶりのリーグ優勝が見えてきた。阪神西勇輝が9月12日の巨人戦(甲子園)で今季初の完封勝利を飾り、9月は負けなしの9連勝。2位の広島ヤクルトに敗れたため、マジックを3に減らした。

 今年の「陰のMVP」と評されるのが、遊撃の定位置を再奪取した木浪聖也だ。昨年はプロ入り最少の41試合出場にとどまったが、岡田彰布監督が就任して遊撃のレギュラーだった中野拓夢が二塁にコンバートされたことで、チャンスが巡ってきた。春先から活躍し、115試合出場で打率.283、1本塁打、40打点をマーク。得点圏打率.338と「恐怖の八番打者」の異名を取りポイントゲッターとして活躍し、遊撃でも強肩を生かした安定感のある守備力を見せている。

攻守で高いパフォーマンスを発揮


少ない出場機会で印象的な活躍を見せている小幡


 木浪の陰に隠れているが、将来を嘱望される大型遊撃手の貢献度も高い。高卒5年目の小幡竜平だ。中野が二塁に配置転換された際、遊撃のレギュラーで本命視されたのが小幡だった。高い身体能力を生かした遊撃の守備範囲は広く、球際にも強い。木浪がレギュラーをつかんだが、小幡も今季39試合出場で打率.300をマーク。得点圏打率.353と勝負強さも光る。

 少ない出場機会できっちり結果を出していることは、大きな価値がある。途中出場した6月3日のロッテ戦(甲子園)では同点の延長11回一死満塁の好機で、中前にはじき返す人生初のサヨナラ打。連敗を3で止め、4時間19分の熱闘を制した。お立ち台では「もう本当に自分が決めてやるとしか思ってなかったので。あそこでこう、サヨナラになって良かったなと思います」と振り返り、「初回からずっと大きな声をいつももらっていますし、こんなに遅い時間まで(声援を)送ってくれるっていうのはすごい力になるので、いつもありがとうございます」とファンへの感謝を口にした。

 7月26日の巨人戦(甲子園)で代走から途中出場した際も、勝ち越してさらに7回二死一、三塁の好機で、変則左腕・高梨雄平の直球をきっちり捉えて左中間に2点適時三塁打。「八番・遊撃」でスタメンに抜擢された8月19日のDeNA戦(横浜)では、2点リードの8回で回ってきた打席で伊勢大夢のスライダーを中前にはじき返すなど、今季2度目の猛打賞をマークした。

 スポーツ紙記者は、「途中出場が多く難しい役回りですが、攻守で高いパフォーマンスを発揮している。佐藤輝明が打撃不振だった時は小幡を遊撃で起用し、木浪を三塁に回すのではないかとささやかれるほど、遊撃の2人のレギュラー争いはハイレベルです。まだ22歳と若く、俊足とパンチ力に加えて、ミート能力も上がっている。球界を代表する遊撃になる可能性を秘めた逸材です」と高く評価する。

根尾、小園らと同世代


 小幡の同世代は根尾昂(中日)、小園海斗(広島)がいる。大阪桐蔭高で投打の二刀流で活躍した根尾はプロ入り後に野手から投手に転向するが、3人は高校時代に遊撃を守っていた。根尾、小園はドラフト1位で4球団が競合し、小幡は2位で阪神に指名された。延岡学園高で攻走守3拍子そろった遊撃手として名を馳せていたが、宮崎県延岡市内のライバル校だった聖心ウルスラ高には同学年のエース・戸郷翔征(巨人)がいた。ドラフト6位で入団した戸郷はエースへの階段を駆け上がり、この世代でトップの活躍を見せている。

 小幡は高卒2年目の2020年に一軍デビューを飾り、54試合出場で打率.220をマーク。戸郷はこの年に9勝をマークして頭角を現した。同年11月に週刊ベースボールのインタビューで、戸郷の存在に言及している。

「実はアイツとは、高校時代に対戦は一度もないんです。でも、アイツの活躍はすごく刺激になりますし、2年目でものすごい成績を挙げましたからね。本当に励みにはなっています」

 内に秘めた闘志は熱い。リーグ優勝を達成した先にはCSを勝ち抜き、日本一に立つという大きな目標がある。小幡にも必ずチャンスが巡ってくるはずだ。

写真=BBM
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