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森友哉獲得に乗り出さず…「阪神が脱FAのチーム作り」で黄金時代の予感が

 

生え抜きの若手を辛抱強く育成


大豊作だった「21年入団組」のドラフト1位だった佐藤輝


 18年ぶりのリーグ優勝を飾った阪神の陣容を見ると、生え抜きの選手たちがチームの大半を占めている。

 スポーツ紙記者は、「かつてはFA補強に積極的だった阪神ですが、2016年に金本知憲元監督が就任以降は、生え抜きの若手を辛抱強く育成するチーム作りにシフトしました。昨オフに大阪出身の森友哉(オリックス)が西武からFA権を行使した際も、獲得に乗り出していない。ドラフトで良い素材を発掘し、上位指名だけでなく下位入団の選手たちも次々とチームの主力に育っているため、外部補強に頼る必要がなくなっている。ファームにも将来の先発ローテーション候補として期待が大きい森木大智門別啓人富田蓮、野手陣では遠藤成井坪陽生野口恭佑ら楽しみな素材が多い。チームの戦力がこれから大きく下がるとは考えづらく、若手が順調に育てば黄金時代が続く予感がします」と期待を込める。

黄金ドラフト「21年入団組」


 阪神の黄金ドラフトと言えば、「21年入団組」が代表格だ。1位指名で4球団が競合した佐藤輝明は、NPB史上初の左打者で史上初の入団1年目から2年連続20本塁打をマーク。今年は打撃不振で苦しみスタメンから外れた時期もあったが、8月以降は絶好調。3年連続20本塁打を達成している。

 2位指名の伊藤将司も入団1年目から先発ローテーションで稼働し、3年間で29勝をマーク。左腕エースの座を確立している。5位の村上頌樹は昨年まで白星がなかったが、今季大ブレーク。20試合登板で10勝5敗、防御率1.76とタイトルを狙える位置につけている。6位の中野拓夢はこの順位で獲得できたことが信じられない活躍ぶりだ。1年目の21年に30盗塁でタイトルを獲得するなどチャンスメーカーとして稼働し、今年は侍ジャパンに選出されてWBC制覇にも貢献した。8位の石井大智は快速球を武器にセットアッパーに定着。今季は38試合登板で1勝17ホールド、防御率0.79と抜群の安定感を誇る。

 阪神の強みは投手力だ。ドラフト5位で入団した青柳晃洋は21、22年と2年連続最多勝を獲得。西勇輝、伊藤将と共に先発陣を引っ張ってきたが、右肘手術から復活した才木浩人、村上、現役ドラフトでソフトバンクから移籍して覚醒した大竹耕太郎、高卒4年目のドラフト1位右腕・西純矢ら新たな力が次々に台頭し、ハイレベルな競争が繰り広げられている。野手もドラフト1位の大卒ルーキー・森下翔太を筆頭に、小幡竜平小野寺暖前川右京ら生え抜きの若手たちが虎視眈々とレギュラーの座を狙っている。

主力が戦線離脱しても落ちないチーム力


18年ぶりの優勝を飾り、胴上げされる岡田監督


 選手層が厚くなったことで、主力選手が戦列を離れてもチーム力が落ちなくなっている。岡田彰布監督は8月下旬に週刊ベースボールのコラムで、手ごたえを語っていた。

「ここにきて梅野隆太郎が骨折で今季絶望? ということになった。そら痛いわ。補充はできても代わりはいない。そういう選手だけに、何とか乗り切るしかないけど、それ以外は戦力的に落ちる要素はないし、若い選手、中堅の選手の台頭が頼もしくもある。野手では森下、小野寺、小幡。投手ではセットアッパーでの桐敷拓馬、石井、加治屋蓮……。経験を積みながら、いい仕事をしてくれている。特に投手陣に関しては、充実していると思うし、投手力を含めた守りの野球を掲げてスタートした形がしっかりできている。オレはそう感じているわけよね」

 18年の歳月を要したが、リーグ優勝を経験したことは選手たちの今後の野球人生で大きな財産になるだろう。パ・リーグで同じ関西に拠点を置くオリックスがリーグ3連覇に向け、マジックを順調に減らしている。阪神も黄金時代を築けるか。

写真=BBM
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