3人に絞られた首位打者争い
打撃主要三部門で上位につける近藤
セ・リーグは
阪神が18年ぶり阪神が優勝。パ・リーグも
オリックスがM4で優勝は秒読み段階。クライマックスシリーズ進出争いはし烈で、両リーグともに2枠を3チームで争っている。
また終盤戦で注目が集まるのが個人タイトル争いだ。今季は特にパ・リーグの打撃3部門(打率、本塁打、打点)の争いが面白い。
打率は現在、
1位
頓宮裕真(オ) .307
2位
柳田悠岐(ソ) .300
3位
近藤健介(ソ) .298
ほぼ3人に絞られているが、1位・頓宮と2位の柳田は7厘差、近藤とは9厘差。9月16日に頓宮は発熱による体調不良のため特例2023で登録を抹消されているが、首位打者争いも激化している。
頓宮は6月1日に規定打席に到達。打率.321の1位での登場で、このときの2位は柳田の.315。頓宮はその後も打率を上げ、6月28日には打率.348。この時点でパの3割打者は頓宮しかおらず、2位の柳田は.296。しかし頓宮は7月に一気に打率を落とした。7月に頓宮は1割台の打率で、柳田は.345と好調だったため一気に差が縮まった。一方、ジワジワと打率を上げてきたのが近藤。5月末までは.247と2割5分を下回っていたが、交流戦から調子を上げ2割9分台までアップした。
3人の月間打率は次のとおり。
頓宮 柳田 近藤
3・4月 .269 .373 .259
5月 .369 .267 .235
6月 .372 .258 .342
7月 .188 .345 .343
8月 .322 .294 .265
9月 .242 .263 .226
頓宮はロッテ戦に相性がいいが…
もし.310の決着と仮定すると、次の成績を残さなければならない(1試合4打数で計算)。
頓宮 60−20 打率.333
柳田 56−22 打率.393
近藤 56−23 打率.411
柳田は残り1試合で3割9分台、近藤は4割1分台とかなりのペースが必要。
しかし.305が着地点だった場合、
頓宮 60−18 打率.300
柳田 56−20 打率.357
近藤 56−21 打率.375
それでも頓宮がかなり有利な立場に立っている。
3人の対戦チーム別打率は次のとおり(カッコ内は残り試合)。
頓宮 柳田 近藤
オ ―― .326(3) .312(3)
ロ .366(5) .333(3) .257(3)
ソ .314(3) ―― ――
楽 .286(3) .333(5) .300(5)
西 .268(3) .250(1) .230(1)
日 .247(1) .333(2) .304(2)
頓宮がもっとも残しているのが
ロッテ戦だが打率.366と相性のいいチーム。ただ抹消されている中、9月19、20日に試合が組まれている。また打率.247の
日本ハム戦は1試合と少ないのは好都合だ。
柳田は
西武戦の打率.250以外はすべて3割をマーク。西武戦の残りは1試合でこちらは好材料。近藤も打率.300の
楽天戦が5試合残っていて固め打ちができれば可能性は出てくる。
本塁打王は20本台に
本塁打ランキングで浅村と並びトップに立つポランコ
本塁打争いも激化している。
1位 ポランコ(ロ)24
1位
浅村栄斗(楽)24
3位
万波中正(日)23
4位 近藤健介(ソ)22
5位 柳田悠岐(ソ)20
浅村が8月31日に23号を放ち、2位のポランコと万波に3本差をつけトップ。ところが浅村のバットから快音がピタリと止まり、ポランコが9月1日から3試合連発で並んだ。そのポランコもその後は一発が出ず、16日にやっと24号を放つと、17日に浅村が並んだ。欠場していない状況で8月31日から約半月間、パの最多本塁打は23本のまま止まっているというかなりのレアケースだった。
現在20本以上5人はタイトルを狙える位置にいる。この5人の月別の本塁打数は次のとおり。
ポラ 浅村 近藤 万波 柳田
3・4月 1本 3本 2本 4本 2本
5月 5本 7本 3本 7本 6本
6月 2本 1本 6本 3本 4本
7月 4本 9本 3本 1本 2本
8月 8本 3本 7本 5本 4本
9月 4本 1本 1本 3本 2本
6月までは8本しか打っていなかったポランコは、パ・リーグの投手にも慣れたのか、7月以降は16本と力を発揮している。勢いからすればタイトルに近いものの、10本塁打とカモにしている楽天戦は残り1試合しかなく、1本しか打てていないオリックス戦は最多の5試合。浅村は5月=7本、7月=9本と量産している月はあるが、6月は1本、9月もまだ1本と波が激しい。
本数はともかく稀に見るタイトル争いと言える。
打点でやや抜け出している柳田、近藤
打点も本塁打王争いの5人が上位だ。
1位 近藤健介(ソ)79
2位 柳田悠岐(ソ)76
3位 浅村栄斗(楽)70
4位 万波中正(日)70
5位 ポランコ(ロ)68
こちらは
ソフトバンクの近藤、柳田の2人がやや抜け出している。ただし、これから本塁打の量産などで大きく変わっている場合も考えられる。
また近藤、柳田は3部門すべてに顔を出していて、ほんのわずかながら三冠王の可能性もある。
文=永山智浩 写真=BBM