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第2の吉田正尚? 阪神のファーム首位打者を狙う若武者に「将来の主力選手」の期待が

 

ウエスタンで打率2位


ウエスタンで着実に成長を果たしている遠藤


 18年ぶりのリーグ優勝を飾った阪神。白星を積み重ねる原動力になったのが若い力だ。25歳以下の選手を見ると、佐藤輝明村上頌樹小野寺暖才木浩人桐敷拓馬湯浅京己浜地真澄小幡竜平森下翔太西純矢及川雅貴と主力選手たちがズラリ。ファームも富田蓮森木大智門別啓人岡留英貴前川右京高寺望夢井坪陽生野口恭佑ら将来を嘱望される選手たちが、一軍の舞台で活躍を目指して汗を流している。

 その中で着実に成長している選手が、高卒4年目の遠藤成だ。今季はウエスタン・リーグで109試合に出場し、打率.272、2本塁打、37打点、10盗塁をマーク。打率はリーグ2位の好位置につけている。

 スポーツ紙記者は、「肩が強く足が速い。パンチ力も併せ持つ選手でスケールの大きさを感じさせます。プロの投手にもアジャストできるようになり、ミート能力が入団時より格段に上がっている。目指す方向性は吉田正尚(レッドソックス)ですかね。二遊間は木浪聖也中野拓夢、小幡竜平と能力の高い選手がそろっていますが、ファームで力をつけてレギュラー争いに割って入ってほしい」と期待を込める。

プロ入り当初は守備に難


 秋田で生まれ育ち、進学した東海大相模高では1年春からベンチ入り。抜群の野球センスを誇り、遊撃と投手の二刀流で活躍した。打撃では高校通算45本塁打をマークし、投手としても最速145キロの直球とキレ味鋭いスライダーを武器に主戦投手に。3年夏に甲子園に出場した際は初戦・近江高戦に先発登板して7回1/3を投げて2安打8奪三振1失点の快投。打っても2安打1盗塁の活躍で勝利に大きく貢献した。

 阪神にドラフト4位で入団し、野手一本で勝負することを決断。プロと高校生では投手が投げる直球の球質、変化球の精度がまったく違う。高卒1年目はウエスタン・リーグで62試合に出場し、打率.157。自信があった守備でも11失策と鋭い球足の打球処理に対応できない場面が見られた。

 遠藤は週刊ベースボールのインタビューで、「試合には出場していますが、まだまだダメな部分が多くあります。守備に関しては基本ができていないですし、打撃では真っすぐの対応の仕方が高校野球とはまったく違ったので、そこで課題が出てきています」と明かし、攻守でどちらの課題に重きを置いているかについて、「守備です。捕球するときの基本姿勢は、体の右側に重心を置きながら打球を見て捕球しにいくのですが、僕の場合はどうしても左側に体重が掛かってしまい、そのクセを直しています。右側体重での基本姿勢だと、捕球してからの送球がスムーズになることを実感しています」と語っていた。

一軍デビューを目指して続く戦い


 プロの世界で成功をつかむためには、目の前の壁を一つひとつ乗り越えるしかない。自他ともに認める負けず嫌いの性格で鍛錬を積むと、攻守の精度が上がり内野は遊撃、二塁、三塁と3つのポジションをこなせるように。昨年7月に開催されたフレッシュオールスターでは、「一番・遊撃」でスタメン予定だったチームメートの高寺が新型コロナ陽性で出場辞退となったため急遽スタメンで出場し、初回に達孝太(日本ハム)から右中間に先頭打者アーチ。優秀選手賞を受賞した。

 今季はファームで好成績を残しているが、一軍デビューは叶っていない。現在の二遊間の陣容を考えると致し方ない部分がある。高卒5年目の来季は一軍でのレギュラーを奪取する上で、重要な年となる。球界を代表するスラッガーたちも、伸び悩んでいたが高卒5年目で覚醒している。筒香嘉智(ジャイアンツ傘下)は打率.300、22本塁打をマーク。T-岡田(オリックス)も打率.284、33本塁打で本塁打王を獲得している。

 今年はクライマックスシリーズ、日本シリーズとまだ戦いは続く。一軍での活躍を目指し、阪神の若武者が牙を研ぐ。

写真=BBM
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