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ドラフト9位入団からDeNAの正捕手へ 「山本由伸世代」で大化けの逸材は 

 

左腕が絶大な信頼を寄せる捕手


9月26日の巨人戦では16勝目を挙げた東[左]とともにお立ち台に上がった山本


 DeNAがCS進出に向け、大きく前進した。

 大きなカギを握る4位・巨人との直接対決。9月24日は0対6と完封負けを喫したが、25日は先発・大貫晋一が7回途中まで無失点の好投で完封勝利。そして、26日は東克樹が8回まで5安打無失点の快投で続いた。東は球団タイ記録の12連勝で、リーグトップを独走する16勝目をマーク。2試合連続1対0の完封勝利で、巨人と4ゲーム差に広げた。東は試合後のお立ち台で、女房役の山本祐大を絶賛した。

「本当に苦しいイニングがあったんですけど、祐大がイニング間にまるでお母さんのように、次はああしろ、こうしろと指示をくれたので、本当にきょうも祐大のおかげだと思います」。

 DeNAにとって今季の最も大きなプラスアルファは、東の完全復活だろう。1年目の18年に11勝をマークして新人王に輝いたが19年以降に左肘痛に苦しみ、開幕投手に抜擢された昨年も1勝6敗、防御率4.62と結果を残せなかった。だが、今年は直球のキレを取り戻し、23試合登板で16勝2敗、防御率2.03をマーク。その左腕が絶大な信頼を寄せる捕手が、今季登板したすべての試合で先発マスクをかぶる山本だ。

課題の打撃も向上


 経験値の高い先輩の伊藤光戸柱恭孝を押しのける形で、チームトップの49試合で先発マスクをかぶる。強肩に定評があったが、課題の打撃も力をつけている。打率.278、3本塁打、15打点をマーク。9月1日の巨人戦(横浜)では、1点を追いかける2回二死一塁でエース右腕・戸郷翔征から逆転の2号左越え2ラン。捕手としても東を好リードで勝利に導いた。試合後のお立ち台では「僕が打ったり勝ったりしたら、東さんがすごい良い笑顔をくれるので、その笑顔が見られて今日も幸せです」と満面の笑みを浮かべていた。

 山本由伸(オリックス)、今井達也(西武)、坂倉将吾(広島)らと同学年の「1998年世代」。プロ入り時は注目される存在ではなかった。京都翔栄高では同学年の石原彪(楽天)が捕手を務め、山本は打力を生かすために外野で出場していた。高校卒業後はBCリーグ・滋賀に開幕から1カ月遅れて入団し、56試合の出場で打率.294、2本塁打、盗塁阻止率.448を記録。強肩強打の捕手として評価を高め、ドラフト9位でDeNAに入団した。

あこがれの捕手は梅野


 プロ1年目から一軍デビューを飾ったが、ブロッキング技術、配球、打力の向上など課題は山積みだった。壁を乗り越えるために行動に移す。2021年1月に梅野隆太郎(阪神)の自主トレに志願参加。他球団の捕手と自主トレを行うのは珍しいが、山本は週刊ベースボールでその狙いを明かしている。

「プロの世界は結果を残せなければクビになるシビアな世界です。それに対して、僕は後悔したくなかった。精いっぱいやった結果、クビになるのなら納得できます。あとは、シンプルにうまくなりたいという気持ちですね。そのためにどうするかを考えたときに、梅野さんの練習を学ぶことで上達できると思ったので行動に移しました。もちろん、すぐにうまくなることはないですが、少しずつコツコツとやっている部分では進歩している面は出ています」

 あこがれの選手についても、「やっぱり、阪神の梅野さんですね。あこがれと表現すると追い越せないみたいで嫌ですが、追いつき、追い越したい、目標にしている捕手です。ブロッキングもよくて、肩も強く、チャンスで打てる。小技も効かせられるし、本当に何でもできる捕手だと思います」と語っていた。

 今年1月の自主トレも梅野から多くのことを学んだ。阪神がリーグ優勝を飾り悔しい思いをしたが、下克上を果たすチャンスが残されている。27日のヤクルト戦(横浜)に引き分け以上でCS進出が決まる。もちろん3位が目標地点ではない。2位・広島と1.5ゲーム差。逆転でCSファーストステージの本拠地開催を目指す。山本が攻守のキーマンになることは間違いない。

写真=BBM
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