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首都大学リポート

1年生右腕・吉川晃生の好投で最大のピンチを脱し 桜美林大が城西大との接戦を制す【首都大学リポート】

 

ピンチを救った好投


リーグ2勝目を挙げた桜美林大・吉川晃生


【9月30日】一部リーグ戦
桜美林大5−4城西大
(1勝)

 秋季首都大学リーグ第5週1日目。首位の日体大と勝ち点2で並ぶ3位の桜美林大が、勝ち点1で5位の城西大と対戦(1回戦)。試合は終盤までもつれる接戦となったが、1年生右腕の吉川晃生(1年・中央学院高)が白星を呼び寄せる活躍を見せた。

 7回裏、同点にされてなおも二死満塁という絶体絶命のピンチでマウンドに上がった吉川。相手の四番・坂口渉(3年・興譲館高)に対し、「右打者は得意なので、自信のあるスライダーで三振を奪いにいきました」と狙い通り空振り三振を奪う。

 これでひと段落といきたかったが、8回裏も窮地は続く。この回の先頭打者に四球を与えると、次打者の投手正面のバントを二塁へ悪送球。さらに死球で無死満塁としてしまう。

 内野陣が極端な前進守備をとるなか、「自分で招いたピンチ、自分で何とかするしかない」と、ここも2ボール2ストライクからスライダーで見逃し三振に打ち取る。

 しかし、一死満塁と場面が変わったところで城西大はスクイズを敢行。「ボールを投げる瞬間、バントの構えをするところが見えたのでとにかく前へ出て、バントした打球が上がったので『捕れる』と思い、イチかバチかで飛びつきました」。

 もともと内野手だったこともあり、フィールディングには自信があった。投手前の小飛球は横っ飛びした吉川のグラブの中へ収まり、飛び出していた三塁走者は帰塁することができず併殺となった。最大のピンチを切り抜け、流れは桜美林大へ。

 直後の9回表は四球と犠打。そして、内野ゴロの間に走者が進塁して二死三塁とすると、四番・岡野優翔(4年・常総学院高)が一二塁間へ適時打を放って勝ち越し。その裏は吉川が三者凡退に抑えてゲームセット。5対4で桜美林大が接戦を制し、城西大に先勝した。

 勝負どころで吉川を起用した藤原悠太郎監督は「とにかくマウンド度胸と投げっぷりが良い。立ち居振る舞いも1年生らしくなく、計算できるピッチャーです」と話しており、その信頼に応えた好投だった。

大学で投手に再挑戦


 高校に入学した当初は投手だったという吉川だが、2年夏から内野手へ転向。3年時は主に二塁手としてプレーしていた。だが、桜美林大への進学を機に、再び投手に挑戦することに。

「高校の相馬幸樹監督に『ピッチャーに専念してやってみろ』と言われたんです。正直、野手も楽しかったので少し未練もあったのですが、今はピッチャーが面白くて、充実しています」と話す。

 入部当初はアンダースローにも挑戦したというが、「あまり向いていなかったので、サイドスローに戻したところ、出力が上がってボールに強さが出てきました。今はスリークォーターくらいまで自然と腕が上がってきています」と、ストレートの最速も高校時代の132キロから141キロへアップ。

「大学は高校よりも練習時間が少なくなりましたが、その分、質が高くなっているように感じています。今はキャッチボールを特に意識していて、良いボールが投げられるように一球目を大事にしています」と成長の理由を明かしている。

 今秋、第2週の東海大1回戦でリーグ戦デビューを果たすと、4回からの6イニングを無安打。さらにタイブレークの1イニングも無失点に抑えて勝利投手に輝いた。

「同じ1年生の布施蒼生(日大豊山高)が春からリーグ戦に出場して頑張っていて、この秋は疲労も出てくるはずなので『自分のような新しい戦力が出ていかないと』と考えていました」。

 今季は投手陣のなかで重要なピースとなっている吉川。今後に向けて「後輩の自分たちが先輩を支えて、リーグ優勝して、関東地区大会に出場したいです」と目標を掲げている。

 負けられない戦いが続く桜美林大だが、1年生の台頭はチームにとって明るい話題となっている。
文&写真=大平明
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