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首都大学リポート

山田拓朗が2試合連続パーフェクトリリーフ 明治学院大に連勝した筑波大が勝ち点を3に伸ばす【首都大学リポート】

 

不調からの脱却


明治学院大から勝ち点奪取に貢献した筑波大・山田拓朗


【10月1日】一部リーグ戦
筑波大7-2明治学院大
(2勝)

 秋季首都大学リーグ第5週2日目。首位の日体大と同じ勝ち点2で並走する2位・筑波大。今週はホームである茨城・牛久運動公園野球場での開催ということもあり、チアリーダーや吹奏楽団も詰めかけたスタンドから大きな声援が送られるなか、明治学院大との2回戦に臨んだ。

 7対2とリードしたこの試合の9回を締めたのが筑波大の山田拓朗(4年・川越東高)だ。プロ志望届を提出したことでも注目される右腕で、魅力はなんといっても最速の155キロのストレートだ。

「大学に入学して1年目はコロナ禍だったこともあり、ウエートトレーニングに誰よりも励んできました。そのおかげで、試合でも力を発揮できるようになってきたのだと感じています」

 ベンチプレスでは120キロを上げる体をつくり上げ、高校時代は最速141キロだったストレートが大学2年の春には150キロの大台に到達。リーグ戦デビューも果たした。しかし、その後は球速、成績ともに伸び悩んでしまう。

「2年生の時は春と秋を合わせて5試合くらい。昨年は春季リーグの途中から調子を落とし、秋は1試合も投げることができず、本当に悔しい思いをしました」

 そこで、最終学年を迎えた今年はもう一度基本からやり直すことにした。重視したのは体のバランス。「普段の歩き方や走り方からバランスを意識するようにしました。イメージとしては体の中心に力がたまっていて、腕や足は動きに合わせて振られているだけ。この動きはピッチングにも通じているんです」。

 今春のリーグ戦は2試合の登板にとどまったが、この秋は東海大との開幕戦から出場の機会を得ると、一球目からいきなり152キロをマーク。さらに日体大との1回戦では3番手としてマウンドに上がると8回に3者三振。9回の先頭打者も含めると4者連続三振の快投を見せた。

 特に今春の首位打者・重宮涼(4年・明石商高)に対しては4球すべてストレートで勝負。最後は自己最速となる155キロの真っすぐで空振り三振を奪った。

制球力が安定


 明治学院大との対戦ではスピードはそのままに、コントロールの面でも安定したピッチングを見せた。前日の1回戦では9回から登板し、回の先頭打者を151キロの速球で見逃し三振に斬って取ると、最後の打者にはこの試合最速の154キロをはじめ、150キロ台を連発。遊飛に打ち取り、三者凡退に抑えた。

 2回戦も同じく9回からマウンドへ。一死から148キロのストレートで空振り三振を奪うと、次打者も154キロのストレートで空振り三振に仕留めた。2試合連続でパーフェクトリリーフを披露した山田拓に対し、指導にあたる川村卓監督も「コントロールが良くなって安心できる」と笑顔を見せた。

 好調の要因は、キャッチボールの方法を変えたことにあるという。本人いわく「遠投では体を大きく使い、距離を詰めてからは胸の前の一点を狙って投げるようにしています」とのこと。秋季リーグの開幕直前から取り組み、その成果がいま、花開いている。

 また、試合になると力んでしまうフォームについては、力を抜くことを心掛けているという。「川村監督から左足を上げた時にボールを持った右手でグローブの中をポンとたたくようにしてから投げるように言われているのですが、この動きをするとリラックスできて、リズムよく投げられます」と指揮官のアドバイスも役立っているようだ。

 明治学院大に連勝し、勝ち点を3に伸ばした筑波大。頂点を視野にとらえた良い位置で、最終節へ向かうことになる。「リーグ優勝と日本一をずっと目標にしてきました」と山田拓。

 そして、その前には運命のNPBドラフト会議が待っている。「自分のドラフトの結果で、チームに勢いを付けられたら」(山田拓)。チームの目標と自身の夢。その一挙両取りを目指す。

文&写真=大平明
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