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巨人・戸郷翔征にメジャーが熱視線「メジャーでも2ケタ勝てる」の太鼓判が

 

心身共にタフな右腕


巨人のエースと呼ぶべき存在となった戸郷


 2年連続Bクラスに終わった巨人。だが、エース・戸郷翔征は十分に役割を全うしたと言ってよいだろう。24試合登板で12勝5敗、防御率2.38。170イニングの投球回数はリーグ3位で、同トップタイの4完投をマーク。心身共にタフな右腕はマウンド上で頼もしく映った。

 戸郷の魅力が凝縮されていた試合が今季最終登板となった9月30日の中日戦(東京ドーム)だった。投げ合った相手は同学年の根尾昂。高校時代は根尾が投打の二刀流で名を轟かせて4球団がドラフト1位で競合して当たりクジを引いた中日に入団し、戸郷はドラフト6位で巨人へ。5年の月日を経て戸郷はエースの階段を駆け上がり、世代のトップランカーとなった。

 野手から投手に転向し、プロ初勝利を狙う根尾は6回まで1失点と好投を見せるが、戸郷はさらに上回る。140キロ台後半の直球、落差十分のフォーク、キレ味鋭いスライダーのコンビネーションで4回一死まで走者を1人も出さない。7回2安打無失点と危なげない快投で、34イニング連続無失点。降板後に救援陣が崩れたために自己最多の13勝目はならなかったが、冷静なマウンドさばきに球界を代表する投手の貫録を漂わせていた。

 外国人選手をマネジメントするメジャーの代理人は、「戸郷は今すぐメジャーに来ても先発で2ケタ勝てるだろう。投球のクオリティーが高く、長いイニングを投げてもパフォーマンスが落ちない。肩、肘に大きな故障がないのも魅力的。まだ23歳と若い。これからさらに進化していくと思う」と絶賛する。

大きかった侍ジャパンの経験


 今年3月にWBC制覇した侍ジャパンで過ごした経験が、野球人生で大きな糧になっている。戸郷は9月に週刊ベースボールのインタビューで、「ダルビッシュさん(ダルビッシュ有、パドレス)とプレーできたこともそうですし、大谷さん(大谷翔平、エンゼルス)のピッチングもバッティングも間近で見ることができたのも本当によかったです。日本の選手たちも、オールスターで数日一緒になることはあったんですけど、1カ月半とか、こんなに長く一緒にいることは初めてだったので、たくさんの話をすることができた期間でしたし、勉強しかなかったですね」と強調している。

 侍ジャパンでダルビッシュからスライダーの握り、投げる感覚について助言を受けたことで、大きな武器に。最大のウイニングショットであるフォークだけでなく、「第3の球種」を身につけたことで投球の幅が広がった。

思い描く高い理想像


 昨年は12勝8敗、防御率2.62で最多奪三振(154)のタイトルを獲得。今季も2年連続12勝をマークし、負け数を減らした。「もっと勝てる試合がたくさんあったので、満足はまったくしていないですけど、ただ2年連続2ケタ勝利ができたということは本当にうれしいことですし、その前の2年(20、21年)が9勝に終わっているので、そこの悔しさというのはいい感じに晴らせているんじゃないかと思います」と分析したが、目指す理想は高い。

「沢村賞という目標を掲げているので、完投数、奪三振、防御率、勝ち星をはじめすべてを追い求めていかないといけない中で、そこに向けてトレーニングであったり食事であったり、見直すところはしっかり見直していきたいと思っています。チームとしても、もっと上に行けるように、ひとつでもいい位置に行くということを意識しながらやっていきたいと思います」

 WBC、シーズンと全力で駆け抜けた。つかの間の休息を経て、4年ぶりのV奪回を狙う来季に備える。

写真=BBM
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