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よみがえる1958年-69年のプロ野球

阪神・小山正明はなぜマウンドでクビを振っていたのか/『よみがえる1958年-69年のプロ野球』1962年編

 

『よみがえる1958年─69年のプロ野球』第5弾、1962年編が9月28日に発売。その中の記事を時々掲載します。

『よみがえる1958年-69年のプロ野球』1962年編表紙


13完封の要因の一つ


 今回は阪神小山正明山本哲也バッテリーの話だ。



 阪神・山本哲也。熊本工から1953年に阪神入団の捕手だ。1962年は戸梶正夫との併用で98試合の出場だった。

 後輩・村山実に慕われ、1959年の天覧試合でバッテリーを組んだ男でもあるが、同じ1934年生まれの小山正明との息の合ったコンビも光った。

 時代はずれるが、同じく虎の名捕手として鳴らしたダンプこと辻恭彦も、若手時代、小山の構えたミットに勝手に収まるような制球力に驚愕するとともに、その小山の球をまったくミットが動かさず、いい音を鳴らせる山本のキャッチング技術に驚いたという。

 1962年、小山はセ・リーグ記録の13完封を達成したが、その理由の1つに山本のキャッチングを挙げている。以下は当時のインタビューの抜粋だ。

「山本の哲ちゃんがやはりうまくリードしてくれました。あの人はずっと10年一緒にやっていますから僕のクセは完全にのみ込んでいますよ。僕が勝負球としてこれを持って行くために、この球と次の球をこれこれほうりたいと思っていると、そのとおりサインが出てくるんですわ。わしが時々マウンドでクビをひねっていることがあるでしょ。なんとうまいこと読んでいる。おれのとおりやと思って。時々、わしがクビを振るのは、これだけなんとうまいこと合うもんだなと思って、感心してクビを振っているんですよ」

 キャッチャー冥利に尽きる褒め言葉ではないか。
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