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大城卓三は絶対的な正捕手ではない? 巨人・阿部慎之助新監督で「捕手の起用法」に変化も

 

とてつもない重圧


来季から巨人を率いることになった阿部新監督


 巨人・阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチの表情は、決意に満ちていた。今季最終戦となった10月4日のDeNA戦(東京ドーム)の試合後のセレモニー。原辰徳監督が今季限りでの退任を表明し、阿部コーチにマイクが託されると、力を込めた声が球場に響き渡った。

「まず、ごあいさつさせていただく前に、今年度、巨人軍は優勝争いすることもできず、ファンの皆さまに大変申し訳なく思っています。申し訳ございませんでした」と頭を下げると、「常勝軍団であれ。伝統ある巨人軍の最多勝利数監督、原監督から大役を受け継ぐことになり、とてつもない重圧を感じ、身の引き締まるところであります。ファンの皆様のために強い巨人軍、愛される巨人軍をつくるべく、チーム一丸となっていく所存です」と続けた。

攻守で合格点はつけられるも……


今季もチームで一番多くスタメンマスクをかぶった大城


 現役時代は強打の捕手として、リーグ優勝8度、日本一3度に貢献。巨人の捕手で初の通算400本塁打を達成し、通算2132安打を積み上げた。2019年限りで引退すると、二軍監督、一軍作戦兼ディフェンスチーフコーチを歴任。原監督の下で帝王学を学んだ。

 2年連続Bクラスに低迷した現状からV奪回への道は険しい。来季のレギュラーが確約されているのは岡本和真坂本勇人の2人ぐらいだろう。正捕手の大城卓三も絶対的な存在とは言えない。今年は侍ジャパンの一員としてWBC制覇を経験し、シーズンでも134試合出場で打率.281、16本塁打、55打点とキャリアハイの成績をマーク。守備でもリーグ2位の盗塁阻止率.373と数字は攻守で合格点をつけられるが、グラウンドの司令塔である捕手はチームを勝利に導いてこそ、評価されるポジションだ。球団史上初の捕手出身の監督となる新指揮官の求める水準は高い。岸田行倫小林誠司山瀬慎之助は正捕手奪取を目指す。

期待を込めていた球団OB


 球団OBで野球評論家の川口和久氏は、今年1月に週刊ベースボールのコラムで、次期監督の有力候補と目されていた阿部コーチに期待を込めていた。

「若い投手にとってキャッチャーの存在は極めて大きい。かつての阿部がそうだった。叱咤激励しながら若いピッチャーを引っ張り、成長させた。俺たちコーチの言葉より、阿部の言葉のほうがはるかにピッチャーに届く。だから、マウンドで、『そうだよな、慎之助!』みたいな言い方をし、それをよく利用させてもらった」

「ただ、そのキャッチャーもまた、巨人の課題である。現在の巨人は『打てる捕手』として大城卓三をメーンにしているが、小林誠司を試合終盤に使うなど、リード面では絶対の信頼を置いているわけではない。今年も岸田行倫を入れた3人体制を続けていくのだろう。1つ提案ではないが、どうせ決め手がないなら開き直って『このピッチャーには、このキャッチャー』と分担をするのはどうだろう。ピッチャーとキャッチャーの相性は間違いなくある。組み合わせ次第で、その選手に合ったリードで成長をうながすことができると思う。若手投手の成長は、今後何年か先を考えてもジャイアンツの大きな武器になるはずだ。結果的には、阿部が監督に昇格したときの自分自身の手土産にもなってくるんじゃないかな」

 今季は大城がチーム最多の125試合で先発マスクをかぶったが、他球団を見渡すと正捕手を固定せずに複数の捕手を起用する戦術が主流になっている。18年ぶりのリーグ優勝を飾った阪神梅野隆太郎坂本誠志郎、リーグ3連覇を飾ったオリックス森友哉若月健矢を併用して白星を重ねていた。

 4年ぶりのV奪回へ。捕手の起用法を巡る阿部新監督の采配が注目される。

写真=BBM
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