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【大学野球】法大相手に2失点完投勝利の東大・松岡由機 快投を呼び込んだ3つの要因

 

チームの連敗を25でストップ


東大の先発・松岡由は法大2回戦でリーグ戦初勝利を完投で飾った[写真=矢野寿明]


[東京六大学リーグ戦]
10月8日(神宮)
東大4-2法大(1勝1敗)

 東大が法大2回戦(10月8日)を4対2と勝利して、1勝1敗のタイと雪辱した。

 東大が白星を挙げるのは、昨秋の慶大1回戦以来。1引き分けを挟み、連敗を25で止めた。

 勝因は右腕・松岡由機(4年・駒場東邦高)の2失点完投勝利に尽きる。

 これまでリーグ戦通算36試合で、0勝13敗だったが、ついに初白星を手にした。東大投手の完投勝利は17年秋の法大1回戦(10月7日)で遂げた左腕・宮台康平(元日本ハムほか)以来である。

 快投には、3つの要因がある。

 まずは、成功体験があった。前回勝利の22 年秋の慶大1回戦では、エース右腕・井澤駿介(現NTT西日本)を4対2の7回裏から二番手で救援。8回に1失点を喫したものの、4対3で逃げ切った。この日の法大2回戦は、東大は1点を追う4回裏に追いつくと、5回裏には内田開智(3年・開成高)の勝ち越し右前適時打と、内野ゴロの間に加点。松岡由は5回以降は安打を許さず、142球を投げ切った。

「6回に1度、スタミナが危ないな、という場面があったんですが、最後3イニング、自分が一人でいくつもりで投げました」

 次に、修正能力があった。

「リリースよりも前に力が入ると、意図していないコースにボールがいく。法政さんは力のある打者が多く、一発もある。力勝負しても……。頭では分かっていても、なかなか実践できなかったんですが、6回以降は冷静に、力を抜いて、捕手のミットをめがけて投げた」

 最後に、強じんなメンタルである。

 東大はこれまで試合中盤にリードを奪っても、終盤に逆転されるケースが目立った。しかし、この日は違った。プレッシャーはなかったのか。試合後、松岡は淡々と話した。

「点差を意識すると、一つボールが外れただけで、思考がマイナスになる。今日は点差を意識せず、毎イニング、ゼロでかえることだけを考えていました」

狙うは勝ち点奪取


 勝利投手については「あまり実感がない。現実味がない。チームとして勝てたことが良かった。その一言に尽きる。このチームで勝てたのが良かった」と、自身のことよりも、東大の最上級生としての喜びを語った。

 東大は「1勝」を目標としているのではない。東京六大学リーグは、2勝先勝の勝ち点制。松岡は法大2回戦を通過点と強調する。

「僕らのチームとして、勝ち点2。自力での最下位脱出を目標としています。まず、明日の3回戦で勝ち点を取る」

 東大は1998年春から51季連続最下位。東大の勝ち点奪取は、先述の宮台が完投勝利を挙げた法大とのカードで連勝した2017年秋が最後だ。残る法大3回戦、立大との最終カードで不名誉な記録に、終止符を打つつもりだ。

文=岡本朋祐
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