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阪神退団の高山俊はNPBで現役続行なるか 他球団から「打撃センスは天才的」

 

岡田新監督の下、チャンスをつかめずに


今季は一軍昇格を果たせず、戦力外通告を受けた高山


 セ・パ両リーグでペナントレースの全日程が終了。上位3球団がクライマックスシリーズ、日本シリーズ進出を目指す一方で、来季の戦力構想から外れてチームを去る選手が出る季節になった。

 18年ぶりのリーグ制覇を達成した阪神高山俊板山祐太郎山本泰寛北條史也二保旭小林慶祐渡邉雄大、育成枠の望月惇志が今季限りで退団することが決まった。高山は自身のSNSを更新し、「Thank you tigers fans」と阪神ファンに感謝の思いを綴った。

 覚悟はしていたかもしれない。今季は一軍出場なし。外野陣は近本光司シェルドン・ノイジーヨハン・ミエセス島田海吏に加え、ドラフト1位の森下翔太小野寺暖前川右京ら若手が次々に台頭。高山はウエスタン・リーグで92試合に出場し、打率.249、9本塁打、37打点で打撃好調の時期があったが、一軍から声が掛かることはなかった。ただ、チャンスが与えられなかったわけではない。

 今季から就任した岡田彰布監督は、野球評論家のときから高山の能力を高く評価していた。昨年12月に週刊ベースボールのコラムで、「固定観念にとらわれず、いいものはいい、のジャッジが必要なのだ。そらドラフト1位は注目度が高い。でもそればかりにとらわれない。先の高知での秋季キャンプ。オレには新たな発見が多くあった。見過ごされていた能力を見つけ出したり、眠っていた才能が開花するのでは、といった期待感。例えばドラフト1位の高山俊などは、ホンマ、もったいないし、伸びしろはまだある、とオレは感じている。すべてフラットな目線で、戦力を作り上げたい。公平に評価し、判断する。大昔、自分が味わった苦い経験。それを生かして、強いチームにしていくことを、約束します」と綴っていた。

 今年2月の春季キャンプでは2年ぶりの一軍スタートに。結果を出さなければいけないと必死だったが、実戦でアピールできずにファームへ降格。好調のチームに貢献しようと懸命だったが、一軍のグラウンドは遠かった。

鮮烈デビューを飾った新人時代


 今から7年前。金本知憲元監督が就任した16年にドラフト1位で入団した高山は、阪神ファンの「希望の光」だった。明大で1年から外野の定位置をつかみ、東京六大学リーグ通算最多の131安打をマークしたバットコントロールのうまさは本物だった。1年目に134試合出場で打率.275、8本塁打、65打点をマーク。猛打賞13回は長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)が1958年に記録した14回に次ぐ当時の新人選手歴代2位で、新人王を受賞した。

 明るい未来が嘱望されていたが、2年目以降は輝きが失われていく。持ち味の打撃で試行錯誤を繰り返し、出場機会が減少。19年に105試合出場で打率.269、5本塁打、29打点と復活の兆しを見せたが、20年以降はファーム暮らしが長くなった。プロ8年目のオフ。戦力構想から外れる形で、阪神のユニフォームを脱ぐことになった。

環境が変われば輝きを取り戻す可能性


 高山は今後NPBで現役続行の意向があることが報じられている。他球団の編成部は「打撃センスに関しては天才的。近年は一軍で結果を残していないが、環境を変えることで輝きを取り戻す可能性はある。30歳とまだまだ老け込む年ではないですしね。獲得に興味を示す球団があるかもしれない」と語る。

 明大で共にプレーし、阪神にドラフト2位で同期入団の坂本誠志郎は自己最多の84試合に出場してリーグ優勝に貢献。ドラフト5位の青柳晃洋も今季は8勝止まりだったが、21、22年に2年連続最多勝とチームのエース格となった。高山は違うユニフォームを身にまとい、阪神のチームメートと一軍のグラウンドで対峙することはかなうだろうか。

写真=BBM
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