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よみがえる1958年-69年のプロ野球

西鉄ライオンズの稲尾和久は言う。「連投しなきゃいけないピッチャーは、もうどうしても逃げざるを得ない場合があるんですよ」/『よみがえる1958年-69年のプロ野球』1962年編

 

『よみがえる1958年-69年のプロ野球』第5弾、1962年編が9月28日に発売。その中の記事を時々掲載します。

『よみがえる1958年─69年のプロ野球』1962年編表紙


使われ方が違う



 今回は、この年25勝を挙げ、入団8年目にして206勝を挙げた西鉄・稲尾和久のインタビューだ。当時、まだ25歳だからすさまじい。

 天下のカネやんに結構辛辣な言葉もある。

 聞き手は野球評論家の佐々木信也氏。



佐々木 カネさん(国鉄・金田正一)がこの間言ってたけれども、バッターがカーブを狙ってるなと思ったら、かえってそのカーブで勝負する。ストレートを狙ったらストレートで勝負すると言っていたけど、サイちゃん(稲尾の愛称)の主義はどう?

稲尾 結局、せんじ詰めればピッチャーというのは術ですよね。忍術だと思うんですよ。だから、あるときはそういういき方も必要ですよ。絶対にね。逃げるピッチングっていうのは一番いけないことだと思うんですよ。しかし、時には逃げなきゃいけないピッチングだってあると思います。カネさんみたいな状況に置かれたピッチャーというのは、そういうことを言えるかもしれないですね。僕らみたいに連投しなきゃいけないピッチャーは、もうどうしても逃げざるを得ない場合があるんですよ。だから、あの人の考え方と、僕らの考えとは違いますよね。

佐々木 使われ方が違うからね。

稲尾 言い方が悪いかもしれないけど、国鉄は優勝争いがない。僕は一番成長期にあったときに、優勝に直接響くゲームが随分あった。真っすぐを狙っているときに真っすぐで勝負するのはカネさんの持ち味ですよ。カネさんの真髄だと思います。僕らもそういうふうにしたいですよ。しかし、そうじゃない状態もやむを得ないときもある。
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