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西川龍馬のFA去就は…他球団「パ・リーグでも通用する天才打者」の熱視線が

 

昨オフはFA権を行使せず


故障離脱の時期もあったが、今季もバッティングで好成績を残した西川


 CSファイナルステージで阪神に敗れた広島。5年ぶりの日本シリーズ進出は叶わなかったが、4年連続Bクラスの低迷期から2位に躍進したことは選手たちにとって大きな自信になっただろう。

 今年の戦いを振り返り、収穫と課題が浮き彫りになった。V奪回に向けてどのようなチーム作りをしていくか。一番の懸案材料はチームの中心選手として稼働した西川龍馬の動向だ。昨季取得した国内FA権を行使するか熟考する姿勢を示している。今季は右脇腹痛で戦線離脱した時期があったが、109試合出場で打率.305、9本塁打、56打点をマーク。2年ぶりの規定打席に到達し、自身初の首位打者獲得はならなかったが、リーグ2位の打率で打線を牽引した。

 昨オフもFA権を行使するか去就が注目されたが、今季から就任した新井貴浩監督の下でプレーすることを決断。単年契約を結んだ。背番号「63」から長野久義(現巨人)がつけていた「5」に変更し、チームを引っ張る自覚が行動に現れていた。2月1日のキャンプインでは、練習前の円陣で「今年は悔しい思いをしたくない。一人ひとりが優勝、日本一を描きながら家族一丸で戦えば絶対に強いチームになる。今年はマジでやったりましょう!」と言葉に力を込めた。

広島は「やっぱり、いいチームやな」


 西川は昨オフにFA権を行使しなかった理由について、週刊ベースボールのインタビューで、「うーん、安定で落ち着くのか、自分をもっとこう……。もう一回、ほかに行って、環境を変えて一から競争をして、自分を奮い立たせるという選択肢もあるのかなと。そういうところで悩みましたかね。(新井監督に)『一緒に頑張ろう』と言っていただきました。大きかったですね」と明かした上で、広島の魅力について言葉を紡いでいる。

「やっぱりこう、仲がいいって言ったらあれですけど、あまり上下関係もなく、いい関係を築けている。キャンプに入ってあらためて『やっぱり、いいチームやな』と感じました」

「残ったからにはね、ある程度、数字も出さないといけないですし。今年で29(歳)と、チームの中でも中堅よりちょい上ぐらいになって、下の子も多いので、自覚も持って、しっかりとやらないといけない。あとは、周りの人に残ってよかったなと思われたらいいかな、と思いますよね」

環境を変えてステップアップした選手


 有言実行でチームを引っ張り、新井監督の期待に応える結果を残した。ただ、一度きりの野球人生で他球団の評価を聞きたいという思いがあっても不思議ではない。環境を変えることでさらにステップアップした選手もいる。共に自主トレを行うなど慕っている近藤健介(ソフトバンク)はその代表的なケースだ。昨オフに日本ハムからFA移籍し、全143試合出場で打率.303、26本塁打、87打点をマーク。巧打者のイメージが強かったが、長打力を磨いて本塁打、打点の2冠王に輝き、自身3度目の最高出塁率(.431)を獲得した。

 他球団の編成担当は、「西川は近藤と同様に環境が変わっても自分の力を発揮できるタイプ。初対戦の投手を苦にすることがないし、ミート能力に関しては天才的な部分がある。セ・リーグはもちろんですが、パ・リーグでも十分に通用すると思いますよ」と高評価を口にする。

 ネックがあるとすれば故障が多いことか。プロ1年目の2016年から一軍で試合に出場しているが、規定打席に到達したシーズンは3度しかない。ただ12月で29歳の誕生日を迎え、選手としてこれから脂が乗る時期に入る。FA権を行使すれば、複数球団の争奪戦になる可能性が高い。果たしてその決断は――。

写真=BBM
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