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中日・根尾昂の劇的な変化に驚きの声 「来季は大ブレーク」期待が

 

野球人生を左右する来季


今季は一軍で2試合の先発。勝利は得られなかったが防御率0.71だった根尾


 球団史上初の2年連続最下位に低迷した中日。リーグワーストの390得点に終わった打線強化が最大の懸案事項だが、投手陣の底上げも課題だ。

 チーム防御率3.08はリーグ2位だが、リーグトップの阪神は2.66と大きく差をつけられた。本拠地が広いバンテリンドームで得点が入りにくいため、投手陣が抑えないと白星を積み重ねられない。先発陣は柳裕也高橋宏斗小笠原慎之介に加え、4月に「左肘クリーニング手術」を受けた影響で今季1試合登板に終わった大野雄大の4本柱が当確だが、残りの2枠は不確定だ。ベテランの涌井秀章、ドラフト1位右腕の仲地礼亜、右肘内側側副靱帯再建術から復活した梅津晃大ウンベルト・メヒアらが先発ローテーション入りを目指す中、この右腕も来年は野球人生を左右する重要なシーズンになる。根尾昂だ。

 昨年のシーズン途中に野手から投手へ異例の転向。賛否両論の声が上がったが、根尾の気持ちは切り替わっていた。

「ピッチャーになってからは早くグラウンドに出たいって思っています。うまくいかないときは考えちゃうんです。練習をしっかりやったあとでも、寮にいて時間だけたくさんあるときとか。そんな時間に『悩んでいても楽しくない』と気づかされました。明るく、前向きにやったほうが、同じことをやるのにもパフォーマンスは違うと思います。そういう意味では吹っ切れたというか、はい、そんな感じです」

フェニックス・リーグで好投


 投手として初めて駆け抜けた1年間は濃密な時間だった。春先は投球フォームのバランスを崩し制球難で試行錯誤したが、今季初登板となった9月18日の広島戦(バンテリン)で6回2/3を自責点0。味方の失策をきっかけに、救援陣が痛打を浴びて4点を失ったが十分に合格点をつけられる内容だった。30日の巨人戦(東京ドーム)でも同学年・戸郷翔征との投げ合いで6回5安打1失点の粘投。プロ初勝利を挙げられなかったが、2試合登板で防御率0.71。来季に大きな期待を抱かせる内容だった。

 シーズン後のフェニックス・リーグでも成長の跡を見せている。10月15日のロッテ戦(サンマリン)では8回4安打1失点の好投。22日の巨人戦(都城)は制球に苦しんだが、6回4安打2失点にまとめた。ボール球先行の投球で反省点は多いが、試合をきっちりつくったことは評価されるべきだろう。

投球スタイルを大きくチェンジ


 スポーツ紙記者は、根尾の劇的な変化を指摘する。

「野手登録でマウンドに上がっていたときは150キロを超える直球でねじ伏せていたが、打者に鋭い打球をはじき返されていたので投球スタイルを模索していたのだと思います。今は球速が140キロ台中盤に落ちましたが、左打者の手元で小さくスライドしたり、高めは手元で浮き上がる軌道で打者を差し込んでいる。投球スタイルをガラッと変えられたのはすごい。イメージしている投球をマウンドで具現化できるようになり、手ごたえをつかんでいると思います。あとは投球の再現性ですね。良い球の比率を増やして安定感を高めれば、今年の村上頌樹(阪神)のように大ブレークする可能性は十分にあると思います」

 シーズンオフも、大きな刺激を受ける舞台が経験できる。11月16日に開幕する「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で、侍ジャパンの井端弘和監督が根尾をバックアップメンバーで選出したことが報じられた。プロ未勝利の投手が選出されることは異例だが、根尾がそれだけの実力をつけていると認められた証しだろう。もちろん、バックアップメンバーで満足できない。中日で先発の大黒柱となり、日の丸をつけてマウンドで躍動する――。中日ファンのみならず、多くの野球ファンが根尾の輝く姿を待ち望んでいる。

写真=BBM
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