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2023ドラフト

ドラフト指名漏れの広陵・真鍋慧 先輩たちを見ても「大学進学」は決して回り道ではない

 

ドラフトで知った「現実」


広陵高・真鍋はドラフトで名前が呼ばれなかった。左は中井哲之監督[写真=湯浅芳昭]


 大学4年間とは、尊い時間である。高校時代とは違う世界観。学校単位での限定的な先輩、後輩との付き合いから、全国から入学してくる大学は、幅が広がる。卒業後、かけがえのないネットワークとなる。高校生が大人と接触するのは部長、監督のほか先生がほとんども、大学は野球部OB、大学OB・OG、支援者のほか、明らかに出会いの機会が増える。もちろん、専門的な学問を学ぶ場である。

 人は財なり。高卒でプロ入団、社会人野球とさまざまな道があるが、大学進学は、人生における「遠回り」ではない。むしろ、将来的なプラスに作用することのほうが多いはずだ。

 前置きが長くなった。広陵高で高校通算62本塁打を記録した左の強打者・真鍋慧が、10月26日のドラフトで名前が呼ばれなかった。

 指名順位を、3位までと設定。4位以下の場合、大学進学する方向性を固めていたという。

 プロとは、厳しい環境だ。華やかなのは、ごく一部。高卒で入団した選手が、4年以下で戦力外通告を受けることも珍しくない。相当な覚悟がなければ、踏み込むことはできない。真鍋はその「現実」をドラフトで知った。ただ、それはプロ志望届を提出していなければ分からない「評価」だった。

 ショックは大きいはず。しかし、次へと気持ちを切り替えるには、人生のターニングポイントとなったはずだ。

 何しろ、広陵高野球部の先輩には模範となる「生きた教材」がたくさんいる。広陵高ではエース・河野佳(大阪ガス→広島)の三、四番手だった大商大・高太一が広島から2位指名。同級生で二、三番手だった明大の左腕・石原勇輝ヤクルトから3位指名を受けた。

 4年間の成長の賜物だ。さらには、来年は明大の遊撃手・宗山塁、大商大の右スラッガー・渡部聖弥がドラフト上位候補に挙がる。

 真鍋は別次元の飛距離、という才能がある。ポテンシャルだけではなく、努力の天才だ。広陵高では3月に卒業するまで野球部員という観点から、3年夏以降も丸刈りというシキタリがある。後輩と一緒になって汗を流し、2年生以下の「お手本」であり続ける。一般的に練習が別メニューの他校とは、一線を画す。中井哲之監督の下、卒業式まで、男を磨き続けるのである。

 だからこそ、次のステージへ向けて最高の準備ができる。昨今の卒業生を挙げれば早大・上本博紀(元阪神)、明大・野村祐輔(広島)がその代表格と言えるだろう。

 大学進学する真鍋もきっちり、1年春の開幕に照準を合わせてくるはず。大学進学が正解だったと言える、充実の4年間を見守りたい。

文=岡本朋祐
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