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楽天退団の炭谷銀仁朗 他球団から「守備型捕手で球界トップクラス」の高評価

 

投手からの厚い信頼


楽天から戦力外通告を受けた炭谷。36歳だが、まだまだ第一線でプレーできる


 2年連続Bクラスに沈み、今江敏晃新監督の下で新たなスタートを切る楽天。現状を変えるため、実績のある選手たちが来季の戦力構想から外れる形でチームを去ることになった。

 日本ハムから移籍して思うような結果を2年間出せなかった西川遥輝、今季1試合登板のみに終わった塩見貴洋は自身の置かれた立場で覚悟していたかもしれない。ただ、炭谷銀仁朗が退団することに驚いたファンは多かったのではないか。今季はチームで2番目に多い46試合で先発マスクをかぶり、9勝をマークした岸孝之、左腕の早川隆久が登板したすべての試合でバッテリーを組んだ。インサイドワーク、キャッチングに定評があり、36歳とベテランの域に入ったが衰えを感じさせない。まだまだ十分に第一線でプレーできるだろう。

「絶対に準備がすべて」


 出場機会を求め、巨人からトレードで楽天に移籍したのは2021年7月。太田光安田悠馬との正捕手争いについて、昨年6月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。

「安田(悠馬)どうこうではなく、僕自身はプロとして、選手として、143試合マスクをかぶるという強い気持ちは毎年持っています。もちろん厳しいことは分かっていますけれども、そういう気持ちがなくなるときはもう、選手じゃないなと思っているので。今年で35歳になりますけど、出たときには自分の役割をしようとか、1試合1試合への気持ちというのは若いときとは何も変わっていないつもりですし、そういう意味で開幕戦だからという特別な思いを僕は持たないようにしているんですよね。開幕戦も優勝決定戦も、消化ゲームの1試合も、どこの1試合だろうと一緒の気持ちですし、僕の中のやることは変わらないので」

「これは昔から言っていることですが、絶対に準備がすべてなんですよね。準備という部分ではベンチだろうが試合前だろうが絶対に怠らないようにはしています。もちろんうまくいかないこともありますよ。それでも準備をしていたら後悔しないですから」

 正捕手として試合に出続けたい。その思いが18年間の現役生活で自身を突き動かす原動力になっていた。一方で、現在のプロ野球は投手との相性を重視し、複数の捕手がスタメンで出場する形がトレンドになっている。オリックス森友哉若月健矢の強力コンビが支え、阪神梅野隆太郎坂本誠志郎が互いの存在を励みに切磋琢磨している。「第2捕手」の需要が高まっている中、経験豊富な炭谷は頼りになる存在になる。

若手の良きお手本に


 他球団のスコアラーは高い評価を口にする。

「投手の持ち味を引き出すのが非常にうまい捕手です。守備型の捕手では球界トップクラスでしょう。毎試合出るのは厳しいかもしれないが、第2捕手で十分に戦力になる。若い捕手にとって参考になる点が多く、良きお手本になると思います」

 数字だけでは測れない魅力がある。西武時代からバッテリーを組んでいる岸が絶大な信頼を寄せていたように、西武在籍時は森が正捕手をつかんだあとも、菊池雄星(現ブルージェイズ)は炭谷とバッテリーを組み続けていた。

 同じ年生まれの大野奨太(中日)が今季限りで現役したことにより、来季も現役続行が決まれば捕手で現役最年長となる。ただ、それは通過点に過ぎない。古巣・西武のほか複数球団が獲得に乗り出す可能性がある。もう一花咲かせられるか。

写真=BBM
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