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中日は内野の全ポジションがレギュラー白紙…「ルーキー含めて熾烈な競争」に

 

ドラフトで遊撃手を2人指名


今季は中日の遊撃を主に守った龍空。しかし、レギュラーを確保し切れなかった


 2年連続最下位に低迷した中日はドラフトで、補強したいポイントがひしひしと伝わってきた。ドラフト2位で俊足と強肩が持ち味の津田啓史(三菱重工East)、3位で鉄壁な守備とパンチ力に定評がある辻本倫太郎(仙台大)を指名。両選手はいずれも遊撃手だ。

 センターラインはチームの生命線だ。中堅は岡林勇希が不動のレギュラーに成長したが、二遊間が固まらない。二塁は福永裕基が97試合出場で打率.241、2本塁打、15打点をマーク。遊撃は龍空が114試合出場で打率.187、1本塁打、18打点と物足りない成績で、シーズン終盤はオルランド・カリステがスタメンで出場していた。二塁と遊撃の2つのポジションを守った村松開人も98試合出場で打率.207、1本塁打、20打点とまだまだ攻守で発展途上だ。

二遊間が盤石なチームは強い


 名将として知られた野村克也氏は生前に週刊ベースボールのコラムで、二遊間の重要性を強調していた。

「野球は点取りゲームであると同時に、失点しなければ負けないスポーツだ。守りで0点に抑えれば、絶対負けることがない。そこで最も重視されるポジションは、センターライン。キャッチャー、ピッチャー、セカンド、ショート、センターである。勝敗のカギは7割方、バッテリーが握っているとはいえ、やはり二遊間の固定は、チーム作りの根幹だ。特にこの2つのポジションには、守備のうまさのみならず人間性も求められる。チームプレーを優先し、ピッチャーに対しても気配り、目配りを欠かさず、試合中もタイミングを見計らってマウンドに駆け付ける。バッテリーのサインから目を離さず、常に先を読んで備える。いわば、内野のリーダーだ。だからプロ野球の名監督には、セカンド、ショート出身が多いのだろう」

 中日の名二遊間といえば、井端弘和荒木雅博の「アライバ」コンビだ。落合博満元監督が黄金時代を築いたときに鉄壁の守備力を誇り、打撃でも一、二番で簡単に打ち取られず相手投手を消耗させていた。二遊間が盤石なチームは強い。今季でいえば阪神は二塁・中野拓夢、遊撃・木浪聖也が攻守で38年ぶりの日本一に大きく貢献した。

ルーキーにもレギュラーの可能性


 ドラフトで2人の遊撃手を獲得したことは、現有戦力を刺激する意味も含まれている。1年目から定位置をつかめるチャンスがあるだけに、モチベーションは高い。津田は「一番の持ち味はスピードなので、攻撃でも守備でもスピードを生かして、また津田を見たいと思ってもらえるプレーをしたいです」、「トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を狙えるようなスケールの大きな選手になりたいです」と眼光鋭い。

 辻本も遊撃で定位置を狙うことを目標に掲げた。今年ドラフト6位で入団し、3月のオープン戦で右肩を脱臼して手術したため一軍出場なしに終わった田中幹也を含め、二遊間は来年2月の春季キャンプから熾烈な競争が繰り広げられることになりそうだ。

 一塁、三塁もレギュラーが固まっていない。チームの顔として長年稼働してきたビシエドは今季3度のファーム降格を味わい、91試合出場で打率.244、6本塁打、23打点と不本意な成績に。和製大砲として期待が大きい石川昂弥は三塁でチーム最多の94試合にスタメン出場し、打率.242、13本塁打、45打点をマーク。自身初の2ケタ本塁打に到達したが、得点圏打率.184とまだまだ物足りない。打線の核になってもらわなければ困る選手だが、かつての主力選手だった高橋周平も控えている。まだ三塁で盤石のレギュラーとは言えない。

 ハイレベルな競争がチーム力の底上げにつながる。現有戦力の強化だけでなく、今オフの補強策も注目される。

写真=BBM
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