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巨人にトレード移籍の高橋礼は第2の大竹耕太郎? 今年見せた「復活の兆し」

 

プロ2年目に12勝で新人王


巨人入団会見に臨んだ泉[左]、高橋。「リーグ優勝に貢献できるように頑張りたい」と高橋は抱負を語った


 サブマリン復活なるか――。巨人のアダム・ウォーカーと1対2の交換トレードで泉圭輔とともにソフトバンクから加入した高橋礼が、宮崎で行われている秋季キャンプに11月10日から合流した。

 かつては、ソフトバンクの投手陣を背負って立つ存在として将来を嘱望された。入団2年目の2019年に23試合登板で12勝6敗、防御率3.34をマークして新人王を獲得。巨人と対戦した日本シリーズ第2戦では7回無失点の好投で白星を挙げ、チームの日本一に貢献し、日本シリーズ優秀選手賞を受賞した。同年は侍ジャパンに選出され、国際大会「プレミア12」の金メダル獲得にも貢献している。

 翌20年は故障で出遅れ、チーム事情もあり救援に回る。「勝利の方程式」の一翼を担い、チームトップの52試合に登板して4勝2敗23ホールド、防御率2.65をマーク。4年連続日本一に不可欠な存在だった。高橋礼は週刊ベースボールのインタビューで、救援の難しさについて以下のように語っていた。

「先発と違って中継ぎの場合は、本当に投げる、投げないは別として、毎日投げられるような準備をしないといけません。毎日が挑戦ですし、調子が悪いときに『こうしたほうがいいな』『ああしたほうがいいな』と試したりというのはなかなか考えにくい。なので、今持っている自分の力で最低限のピッチングをするというのが難しかったです」

「6回、7回のしんどいイニングで、まずはひと呼吸置いたりして冷静にバッターと対峙する。と同時に、周りにもしっかりと目を配る必要があります。試合が進んでいく中で、もしかしたらいろいろなところに変化が現れてきているかもしれないので。視野を広く持って、さまざまなところに目を向けられるようになりました。投げる上でも、同じリズムで、単調に行き過ぎないようにとか、工夫も必要でしたね」

ファームでは好成績をマーク


球界でも希少なアンダースロー。セ・リーグで復活を果たせるか


 救援を経験したことは野球人生の大きな糧になっただろう。自身の希望もあり、21年から先発に再転向したが、長いトンネルに入ってしまう。カーブの精度を磨くことに重点を置いたが投球フォームのバランスを崩し、制球難に。直球の球速も120キロ台と10キロ以上落ちた。思い描いた理想と、突き付けられた現実のギャップに苦しんだ。21年は1勝、昨年は未勝利とファーム暮らしが長くなった。

 今季も5試合登板で0勝2敗、防御率10.80と結果を残せなかったが、復活の兆しは見えている。ウエスタン・リーグでは21試合登板で7勝1敗1セーブ、防御率1.24をマーク。テンポよくストライク先行で投げ込む本来の投球スタイルを取り戻し、直球も力強さを取り戻している

同学年の活躍を刺激に


 巨人に戦力として求められ、トレードで環境を変えることは大きなチャンスだ。良きお手本が昨年までソフトバンクでチームメートだった大竹耕太郎だ。21、22年と2年連続未勝利に終わったが、現役ドラフトで阪神に移籍した今季は春先から先発ローテーションに定着し、21試合登板で12勝2敗、防御率2.26をマーク。自己最高の成績を残し、38年ぶりの日本一の原動力になった。大竹は同学年の同期入団で絆が深かっただけに、阪神での大活躍は大きな刺激になっただろう。

 同学年で復活したのは大竹だけではない。東克樹(DeNA)は16勝3敗、防御率1.98で最多勝、最高勝率(.842)のタイトルを獲得。18年に11勝をマークして新人王に輝いた左腕は19年以降に左肘痛でトミー・ジョン手術を受けるなど苦難の時期を過ごしていたが、見事に復活した。

 28歳とまだまだ老け込む年ではない。高橋礼は先発、救援の両方で適性があるため現時点で起用法が決まっていないが、来季のV奪回に向けて重要なキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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