週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

第2の細川成也? 中日の若手成長株に、他球団が「大化けする逸材」と警戒

 

新天地で大ブレークの細川


今季、現役ドラフトで中日に移籍し、能力が開花した細川


 2年連続最下位に低迷した中日は、打線強化が来季の巻き返しへ不可欠な要素だ。

 今季の390得点はリーグワースト。主軸が機能しなかった中で、明るい材料は細川成也の覚醒だった。DeNAでは和製大砲として期待されたが一軍に定着できず、昨年は18試合出場で打率.053、1本塁打、1打点。同年オフに現役ドラフトで中日に移籍した。

 環境を変えたことが、野球人生の転機に。開幕戦は出番がなかったが、本職でない一塁で起用され、打撃で結果を残すことでスタメンに定着した。5月は打率.360、5本塁打、17打点の好成績で自身初の月間MVPを受賞。課題だった変化球への対応力が高まり、自信を深めているように見えた。監督推薦で初の球宴に出場。9月2日の広島戦(マツダ広島)で20号をマークした。中日の日本人選手では和田一浩森野将彦(ともに一軍打撃コーチ)が2010年に記録して以来、13年ぶりの快挙だった。最終成績は140試合出場で打率.253、24本塁打、78打点を記録。本塁打、打点はいずれもチームトップで、特別なシーズンになった。

大化けする可能性を秘めた逸材


2022年、ドラフト1位で入団したブライト。大きな魅力が詰まった打者だ


 細川のブレークは、若手選手たちの大きな刺激になっただろう。きっかけをつかめば一軍の大舞台で活躍できる。「第2の細川」となる若手成長株は誰だろうか。他球団の首脳陣が筆頭候補に挙げたのが、来年プロ3年目を迎えるブライト健太だった。

「大成する選手の共通点として直球に強い。ブライトはスイングスピードが速いので150キロを超える直球をきっちりはじき返せるし、変化球にも崩されずに下半身の粘りでヒットゾーンに飛ばせる。足が速く身体能力も高い。岡林勇希と違ったタイプのリードオフマンで、塩見泰隆(ヤクルト)を彷彿とさせます。攻守で判断ミスが目立つのが課題ですが、我慢して起用し続ければ、大化けする可能性を秘めた逸材だと思います」

 プロ2年目の今季は33試合出場で打率.241、0本塁打、4打点。外野のレギュラーをつかむことはできなかったが、躍動感あふれるプレーには大きな魅力が詰まっている。ウエスタン・リーグでは57試合出場で打率.309、7本塁打、25打点、6盗塁をマークした。

 ブライトは大卒でドラフト1位入団だが、「活躍するまで少し時間がかかる」という見方が多かった。体の線が細く、上武大でも外野のレギュラーをつかんだのは4年春のリーグ戦と遅咲きだった。打率.380、3本塁打、12打点でMVPを受賞すると、大学選手権では4試合で打率.615、2本塁打、5打点の大暴れ。西日本工大の大学No.1左腕・隅田知一郎(現西武)からアーチを放ったことで、一気にプロのスカウト陣の評価を高めた。

自分の立ち位置を冷静に把握


 ブライトは週刊ベースボールのインタビューで、「プロに行ってみたいなという気持ちは持っていたんですが、もしかして行けるかもしれないと思い始めたのは、確かに大学選手権のあとですかね。大会が始まる前に監督からも『ここで活躍できなければプロの道はないよ』と言われていて、実際に結果を残せたので、もしかしてと思うようになりました」と振り返っている。

 中日からドラフト1位で指名を受けたが、自分の立ち位置を冷静に把握していた。

「(課題は)あり過ぎます、課題しかないです。打撃では体の使い方、守備では送球面、調子の波も大きい。まだ線が細いですからフィジカル面。長いシーズンを戦える体力をつけないと……今の体じゃとても無理ですから」と分析した上で、「レギュラーだったり、開幕一軍だったり、それができればいいとは思いますけど、その前にもう一度、自分の野球を見つめ直すというか、レベルアップすることに専念したいです」と語っていた。

 プロ野球の世界で2年間荒波にもまれ、心身共にたくましくなった。来季は勝負の3年目。中日の救世主になれるか。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング