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愛すべき助っ人たち

独特のスタイルは「集中するためにやっているんだ」 近鉄“いてまえ打線”の舶来大砲ローズ【愛すべき助っ人たち】

 

本塁打の頂点と最後の優勝


独特の打撃フォームも印象に残るローズ


 バットを地面と平行に寝かせて、ヘッドは後方へ。ヘルメットを目深にかぶるスタイルは「深くかぶると投手だけが見える。照明とか、センターやショートの余計な動きも見えないようにして、集中するためにやっているんだ」という。そこから豪快なフルスイングで、シーズン55本塁打を放って当時のプロ野球で頂点に並び、近鉄を21世紀で最初のパ・リーグ優勝、そしてチームにとっては残念ながら最後の歓喜へと運んだ。タフィ・ローズだ。

 このタフィとは少年時代、あまりにもタフだったことから名づけられたニックネームとか。2001年の近鉄で和製大砲が中村紀洋なら、それ以上のパワーを誇ったのが舶来大砲のローズだった。当初は俊足を兼ね備えた中距離ヒッターだったが、来日は1996年。故障の再発を防ぐために始めたウエートが、ローズをパワーヒッターに変貌させた。99年に40本塁打に101打点で本塁打王、打点王の打撃2冠に。そして、これを大きく上回ったのが2001年だった。

 打順は主に三番。続く四番には中村が控える盤石のクリーンアップだった。だが、序盤は低迷。それでも中村の「ボール球は振るな。我慢だ」というアドバイスを受けて復調すると、夏場から爆発する。防御率リーグワーストの近鉄にあって、それを補って余りある強力“いてまえ打線”は、近鉄を最後のハッピーエンドへとチームを導いていった。

 近鉄5連勝で迎えた9月24日の西武戦(大阪ドーム)が天王山。マジック3が点灯していたが、これで2位の西武に敗れると首位を奪われることになる。ローズは2点ビハインドの5回裏に、松坂大輔からシーズン55号。1964年に王貞治が立ったプロ野球の頂点に、初めて他の打者が並んだ瞬間は、さらなる歓喜のドラマへと続く。9回裏には中村のサヨナラ2ランで優勝を決定的にすると、26日のオリックス戦(大阪ドーム)では北川博敏の代打逆転サヨナラ満塁“優勝決定”本塁打でゴール。ローズは本塁打王に加え、リーグ2位の131打点もマークしている。

 近鉄が04年いっぱいで歴史に幕を下ろすと、ローズは巨人、オリックスでもプレーして、通算464本塁打を残している。

写真=BBM
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