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巨人・大城卓三のライバルは玄人好み 他球団から「攻守で能力高い」と高評価の捕手は

 

積極的な補強を見せるオフ


今季も代打サヨナラ弾を放つなど、岸田はチームに欠かせない存在だ


 来季のV奪回に向け、巨人の戦いは始まっている。今オフは早くも3人の投手をトレードで獲得。アダム・ウォーカーとの交換トレードでソフトバンクから高橋礼泉圭輔が加入し、オリックスから金銭トレードで近藤大亮を補強した。

 アンダースロー右腕の高橋礼はセ・リーグで稀少価値がある。先発、救援の経験があり、起用法の幅が広いのも魅力だ。ソフトバンク在籍時に巨人と対戦した2019年の日本シリーズでは第2戦で先発し、7回無失点の好投で白星を挙げている。当時選手として打席で対峙した阿部慎之助新監督は、近年伸び悩んでいた右腕に再び輝いてもらいたい思いが強いだろう。

 泉は20年から救援で3年連続30試合以上登板。今季は3試合登板のみに終わったが、最速153キロの直球と縦に落ちるツーシームを武器に、三振奪取能力が高い。近藤を金銭トレードで補強できたのも大きなプラスアルファだ。17年から3年連続50試合以上登板し、トミー・ジョン手術から復帰した昨季も32試合登板で防御率2.10をマーク。手元で浮き上がるような軌道の直球が最大の武器で、好調時は打者が直球にヤマを張っても空振りをする。コンディションが万全なら、「勝利の方程式」で十分に計算できる。

「第2捕手」にチャンスが


 今年はリーグ4位の507失点。リーグトップの阪神は424失点で80点以上の差があった。失点を減らすためには投手だけでなく、捕手と共同作業でバッテリーの力が重要となる。阿部監督が就任し、注目されるのは捕手の起用法だ。近年は大城卓三が正捕手の座を確保し、今季134試合出場で打率.281、16本塁打、55打点といずれも自己最高の数字をマーク。盗塁阻止率.373はリーグ2位だった。数字だけを見れば攻守で球界トップクラスだが、グラウンド上の司令塔である捕手はチームを勝利に導いて評価される。他球団を見ると、複数の捕手をスタメンで併用する起用法が多い。3年連続V逸という結果を受け、捕手の起用法にメスが入るかもしれない。

 大きなチャンスが巡ってきたのが、「第2捕手」の岸田行倫だ。今季は46試合出場で打率.250、2本塁打、3打点。印象深い試合が、6月30日の阪神戦(東京ドーム)だ。1対1の延長10回二死の場面に代打で登場すると、加治屋蓮のカットボールを右中間席に運ぶサヨナラ弾。一塁を回った際にキョトンとしていた顔をしていたことをお立ち台で聞かれると、「いやもう、とにかく必死で。打った感触が思ったより良かったんで。どこまで飛んでるんかなっていう感じで一塁を回っていた顔ですね」と笑顔で振り返っていた。

要所を締めるリード


 試合前の円陣では声出しで盛り上げるなどムードメーカーとしても知られる岸田だが、他球団のスコアラーは「玄人好みの捕手」と評する。

「数字には表れにくいですが、攻守で総合力が高い捕手です。勝負のポイントをつかみ、要所を締めるリードをしてくる。スタメンでマスクをかぶると、大城と配球が変わってくるので厄介ですよ」

 岸田はプロ2年目の19年に週刊ベースボールで、自身の「未来予想図」についてこう語っている。

「捕手として、チームを勝たせることが一番大事。チームから信頼されて、どんな場面でもチームを勝利に導くことができるプレーができる捕手になりたいです。将来はもちろん、一軍で正捕手の座をつかみたいです」

 来季はプロ7年目。27歳と年齢的にも機は熟している。来季は大城を脅かす存在になり、正捕手の座を奪い取れるか。

写真=BBM
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