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中日が今オフに野手を大量補強の方針 「大化けの可能性秘めた逸材」も

 

貧打線を解消するために


今季限りで巨人を退団したベテラン・中島


 2年連続最下位に低迷した中日が来季の巻き返しに向け、野手を大量補強する可能性が出てきた。

 突きつけられた現実を考えると、当然の策に思える。390得点はリーグ断トツのワースト。チーム打率.234、71本塁打もリーグ最下位だった。

 補強ポイントはポイントゲッターに尽きる。今年はダヤン・ビシエドが打率.244、6本塁打、23打点、石川昂弥が打率.242、13本塁打、45打点と物足りない成績に。メジャー通算41発をマークし、四番で期待された新外国人のアリスティデス・アキーノは20試合出場で打率.154、1本塁打、6打点と戦力にならず、3年ぶりに復帰したソイロ・アルモンテも打率.189、1本塁打、2打点と機能しなかった。

 2年連続最多安打に1本差で届かなかったがチームトップの163安打をマークした岡林勇希、史上55人目の通算2000安打を達成して衰え知らずの大島洋平というチャンスメーカーを擁しながら、なかなか得点が入らない。そこで獲得に動いたのが、現役続行を熱望する他球団の実力者たちだった。

長打力と俊足を兼ね備えた外野手


2018年には22本塁打をマークしたこともある上林


 巨人を退団した中島宏之ソフトバンクの戦力構想から外れた上林誠知阪神のユニフォームを脱ぐことになった山本泰寛板山祐太郎の獲得を検討しているという。中島は勝負強い打撃が健在で、通算2000安打にあと72本に迫っている。長打だけでなく、追い込まれた際は軽打でヒットゾーンに飛ばす。対応能力の高いベテランだ。

 内野の全ポジションを守れる山本も補強ポイントに合致する。今季は一軍出場なしに終わったが、昨季は86試合出場で打率.249、2本塁打、15打点、3盗塁をマーク。パンチ力があり、左投手に強いことで知られる。阪神の二遊間は中野拓夢木浪聖也で固まり、遊撃は小幡竜平も控えていたためにチャンスに恵まれなかったが、まだまだ第一線でプレーできる。

 大化けの可能性を秘めているのが、上林だ。近年は故障の影響で思い描いた成績を残せなかったが、2018年は打率.270、22本塁打、62打点、13盗塁をマークしている。

 スポーツ紙記者は、「外野は岡林、大島、細川がレギュラーの基本線と見られますが、上林も十分にチャンスはある。細川は一塁も守れますしね。長打力と俊足を兼ね備えた選手はセ・リーグでなかなかいない。広いバンテリンドームで二塁打、三塁打を量産し、細川のように打線の軸になったら得点力は一気に上がります」と期待を込める。

環境の変化で生まれ変わった選手


 ソフトバンクから他球団に移籍した選手たちの活躍も刺激になるだろう。昨オフに現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎は21試合登板で12勝2敗、防御率2.26と期待以上のパフォーマンスを見せ、38年ぶりの日本一に大きく貢献した。ソフトバンクにFA移籍した近藤健介の人的補償で、日本ハムに移籍した田中正義も秘めていた潜在能力が覚醒。シーズンの途中から守護神に抜擢され、47試合登板で2勝3敗25セーブ8ホールド、防御率3.50をマークした。

 4月26日のオリックス戦(エスコンF)で初セーブを挙げ、プロ7年目にして初めて上がったお立ち台で、「ホークスのときから、みんながお立ち台に上がっているのは見ては、『自分は戦力になれていない』『何をしているんだろう』と、この6年間、思い続けていた。やっとこういうところに立てて、みんなに自分の姿を見てもらえる」と目を潤ませた姿が印象的だった。

 環境が変わることは、野球人生の大きな転機になる。上林はドラゴンズブルーのユニフォームを身にまとい、もう一度光り輝けるか。

写真=BBM
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