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愛すべき助っ人たち

「球宴で休めたことがプラスに」と大爆発 ヤクルト連覇の“サヨナラ男”ハウエル【愛すべき助っ人たち】

 

平成ヤクルト黄金時代の幕開け


93年にサヨナラ本塁打5本と驚異的な勝負強さを見せたハウエル


 1992年。野村克也監督が就任して3年目のヤクルトで、“ID野球”による黄金時代の幕が開けたシーズンだ。ヤクルトは14年ぶりのリーグ優勝。このとき、まるで黄金時代を呼び込む使者のように来日したのがジャック・ハウエルだった。

 ただ、両足の肉離れもあって、球宴まで8本塁打。メジャーでもシーズン23本塁打を残した助っ人に、期待を裏切られた印象を持ったファンも少なくなかっただろう。当然、球宴に選ばれるわけもない。だが、そこから変貌する。

「球宴で休めたのがプラスになった。あとは家族が来日したことと、伊勢サン(伊勢孝夫コーチ)に言われてバットを短く、軽くしたのもよかったネ」とハウエル。7月29日にサイクル安打を達成すると、続く8月だけで13本塁打を放って月間MVPに。後半戦だけで30本塁打、最終的に38本塁打として本塁打王、さらに打率.331で首位打者と打撃2冠に。ヤクルト14年ぶりリーグ優勝に大きく貢献して、シーズンMVPにも輝いている。ただ、ヤクルトは黄金時代の西武との日本シリーズには敗れて、日本一はならなかった。

 翌93年のヤクルトはリーグ連覇を飾ったが、ハウエルは前年ほどの長打力や安定感は見られず、無冠。オープン戦での背筋痛で4月は精彩を欠いた。だが、5月15日の中日戦(福島)でサヨナラ本塁打、続いて28日の横浜戦(千葉マリン)でも延長13回裏にサヨナラ本塁打。月間2本のサヨナラ本塁打だけでも快挙なのだが、6月22日の広島戦(神宮)で延長10回裏、続く7月にも4日の巨人戦(神宮)で9回裏、14日にも横浜戦(神宮)で延長11回裏にサヨナラ本塁打を放つ。

 それまでシーズンのサヨナラ本塁打は王貞治(巨人)らの3本がトップだったが、それを一気に超える5本のサヨナラ本塁打を残した。このうち3本が延長戦というのもチームを勢いづけたはずだ。一方、2年連続で同じ顔合わせとなった西武との日本シリーズでは、第1戦(西武)の1回表に先制3ランを放って、15年ぶり日本一の起爆剤となっている。

 ハウエルは94年オフに巨人へ移籍、1年だけプレーして帰国している。

写真=BBM
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