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西武・山川穂高がFA権行使 他球団が気になる「故障以外の懸念材料」とは

 

期限最終日にFA権行使


自らの不祥事もあり、今季は17試合の出場に終わった山川


 FA権行使の申請期限最終日となった11月14日。西武山川穂高が国内FA権を行使したことを公式サイトで発表した。

 山川のコメントも掲載され、自身の不祥事について言及。「皆様に多大なる不快な気持ち、不信感を生んでしまった一連の出来事を通じて、ただ野球をするということだけではなく、関係する全てのことを、自分ひとりで考え、また、家族と考えさせて頂きました。野球から離れることだけではなく、社会から離れることまでも考えました。それでも、私の心から消えずに残り続けたことは、野球がやりたい、野球をさせて頂きたいという答えでした。プロ野球選手として恥ずべきことですが、ここまでの気持ちになったのは、これまでの野球人生で初めてのことです」と明かした。

 今回の決断が大きな波紋を呼ぶことは覚悟していたのだろう。「FA宣言により西武ライオンズ以外の球団の考えを聞いた上で、残留か移籍の判断をさせて頂くことは、新たな野球人生へと歩ませて頂きたいという、私の一方的な願い、自分本位な意思のように聞こえてしまうであろうことも、重々承知しております。それでも、私が宣言させて頂くことで、何より、私自身のこれからの野球人生に対して、重い責任を持ち続けることの覚悟であることを、どうか少しでもご理解いただけたら幸いです」と思いを綴った。

フェニックスで“復帰”


 今季17試合出場にとどまり、打率.254、0本塁打、5打点。5月12日に登録抹消されると、ファームの試合にも出場していない。球団は9月4日に無期限の公式試合出場停止処分にすることを発表したが、10月に開催されたフェニックス・リーグは非公式戦試合のため、5カ月ぶりに実戦出場。3年ぶりに三塁の守備に就いて内野ゴロで併殺を完成させるなど軽快な動きを見せ、打撃もフルスイングは鋭くブランクを感じさせなかった。

 3度本塁打王を獲得した長距離砲に対し、ソフトバンクがFAで獲得に動いていることが報じられた。山川の活躍はシーズンを通じて試合に出場できるコンディションを維持できるかが大きなポイントになる。WBCに出場した今季は、開幕間もない4月9日のソフトバンク戦(鹿児島)でふくらはぎの強い張りを訴えて緊急交代。翌10日に登録抹消され、一軍復帰に3週間以上を要した。

故障離脱のシーズンが続いた


 2018、19年と2年連続本塁打王を獲得したが、その後は故障で離脱するシーズンが続いている。20年は右足首の捻挫で強行出場したがフォームのバランスを崩し、規定打席到達者の中でワーストの打率.205、24本塁打、73打点と不本意な成績に。翌21年も開幕早々に左ハムストリングスの肉離れで1カ月以上離脱。復帰後は打撃の調子が上がらず、打率.232、24本塁打、66打点で打順が八番に下がったこともあった。昨年は打率.266、41本塁打、90打点で本塁打、打点の2冠王に輝いて復活を印象づけたが、4月に右太もも裏の軽度の肉離れで約3週間戦列を離れている。

 他球団のスコアラーは、もう一つの「懸念材料」を指摘する。

「山川は5月以降実戦から離れている。150キロ以上を超える直球に対応できるか気になります。実戦から遠ざかると、速い球に動体視力がついていけなくなるケースがある。フェニックス・リーグでは直球をきっちり打ち返していましたが、公式戦ではないですし一軍の一線級の投手たちは球の質が違う。速い球に差し込まれるようだと、どの球団も徹底的に突いてくるでしょう。実績のある選手なので対応してくると思いますが……」

 強打者が速い直球を捉えられなくなり、一気に成績を落としたケースは少なくない。山川は今月で32歳とまだまだ下降線をたどる年齢ではないが、剛速球への対応力が活躍の大きなカギを握りそうだ。

写真=BBM
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