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巨人・門脇誠が新世代のスターに 「ドラフト4位入団」の衝撃

 

アジアCSでMVPに輝く


1年目で遊撃のレギュラーを獲得した門脇


 修正能力の高さは成長の証しだ。アジアプロ野球チャンピオンシップ2023の決勝戦。宿敵・韓国と激突した一戦は同点のまま延長戦へ。タイブレーク方式の延長10回に1点を勝ち越されたが、直後に同点に追いつくとさらに二死満塁の好機で打席に入った門脇誠が、三遊間を破るサヨナラ適時打で勝負を決めた。同点の8回一死一、二塁の好機では引っ張りにいき内角高めのボール球に空振り三振したが、同じ失敗は繰り返さない。延長10回は相手守護神・鄭海英の外角のスプリットを逆方向にはじき返した。

 今大会は本職の遊撃に小園海斗(広島)がいるため、二塁に回った。だが内野の守備に関して不安はない。球際に強く、併殺では小園と息の合ったプレーを見せていた。打撃でもチームを牽引した。初戦の台湾戦で走者を1人も出せないパーフェクト投球で抑え込まれていた中、6回一死からチーム初安打の中越え二塁打を放つと、8回に左前打、9回にダメ押しの右前適時打と猛打賞の活躍。決勝・韓国戦でも1点差を追いかける6回無死二塁の好機で一塁線にきっちり犠打を決め、佐藤輝明(阪神)の同点犠飛をおぜん立てした。最後はサヨナラ打と最高の結果を出し、今大会のMVPに。試合後は井端弘和監督に続き、3度胴上げされた。

 プロ1年目の今季は6月終了時点で打率.170、1本塁打、8打点、3盗塁と一軍の投手にアジャストするのに苦労していた。だが、7月以降は広角に安打を量産。坂本勇人が戦列を離れた9月に遊撃のレギュラーをつかんだ。126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁。首脳陣の信頼を勝ち取り、阿部慎之助新監督は来季の遊撃の定位置を確約している。

守備がうまいという大きな武器


 今季巨人の打撃チーフコーチを務めた野球評論家の大久保博元氏は、こう語っている。

「この門脇という選手は、本当に練習をします。チームNo.1というくらい練習に練習をしていく選手。しかも準備もしっかりやります。でも、打撃はすっとこどっこいでした。それでも守備は誰もが認めるうまさを持っています。三塁を任されるところから始まり、いまでは勇人を三塁に追いやり、遊撃の守備に入っています。以前、若松勉さんに聞いたことがあります。『なぜ、青木宣親をレギュラーで起用しているんですか?』と。たしか青木がまだ1年目のときです。答えは『抜群に守備がいいから。守備で試合に出続けていけば、打撃もよくなり2000安打を打つ選手になる』と。その前に同じヤクルトでは宮本慎也が遊撃のレギュラーを獲得しましたが、打撃は……。しかし、彼も2000安打を記録する大打者になりました」

「そのように守備がうまいという、すごい武器があればレギュラーとなり、一流の投手のボールを打つ習慣が身に付けば打撃は対応できる、というものです。実際にそういう事実があるわけですから、門脇にも2000安打のチャンスがあるのです」

ドラフト時は目立たなくとも


 青木と門脇はドラフト4位で大卒入団という共通点がある。青木は早大で同級生だった鳥谷敬が「ドラフトの目玉」と注目されたのとは対照的に、入団時は目立たない存在だった。門脇も創価大の1年春からレギュラーをつかみ、リーグ戦で首位打者を2度獲得するなど攻走守3拍子そろった選手として評価されていたが、プロ入り時は大卒のドラフト1位で指名された矢澤宏太(日本ハム)、森下翔太(阪神)、蛭間拓哉(西武)のほうが注目度は高かった。二遊間を守る選手ではドラフト2位の村松開人(中日)、友杉篤輝(ロッテ)、3位の林琢真(DeNA)が門脇より上位で指名されている。

 門脇の良さは能力の高さだけでない。野球にストイックに取り組み、並外れた練習量に耐えられる体の強さがあるから、シーズン終盤になってもパフォーマンスが落ちない。「ストロング門脇」は2年目のジンクスと無縁だろう。来季のさらなる飛躍が楽しみだ。

写真=BBM
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