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素材は高橋宏斗級…「中日の大谷翔平」に来季大ブレークの期待が

 

優勝に貢献した新星


今季、1177日ぶりの勝利を飾った梅津晃大[左は龍空]


 新星のブレークはチームの大きな手助けになる。

 38年ぶりの日本一に輝いた阪神村上頌樹大竹耕太郎が先発の柱に。村上は昨季までプロ未勝利だったが、大卒3年目の今季10勝6敗、防御率1.75と抜群の安定感で最優秀防御率のタイトルを獲得。昨オフに現役ドラフトでソフトバンクから移籍した大竹は両コーナーに投げ分ける緻密な制球力で12勝2敗、防御率2.26をマーク。2人で計22勝をマークし、14の貯金を作った。首位を独走した阪神だが、村上と大竹の存在なしに快進撃は成し遂げられなかっただろう。

 リーグ3連覇を飾ったオリックスも次々に投手が台頭している。今年は高卒3年目の山下舜平大が開幕投手で一軍デビューを飾り、身長190cmの長身から投げ下ろす最速160キロの剛速球を武器に9勝3敗、防御率1.61をマーク。8月27日に腰の張りを訴えて戦列を離れ、ポストシーズンでの登板はなかったが十分に合格点を与えられる。絶対的エース・山本由伸が今オフにポスティング・システムでメジャー移籍を目指しており、山下は後継者として期待が大きい。

 育成契約からはい上がった東晃平も7月下旬に先発ローテーションに入ると無傷の6連勝を飾り、防御率2.06をマーク。阪神と対戦した日本シリーズ第3戦では5回1失点と敵地・甲子園で粘投し、育成出身で球団初の日本シリーズ先発勝利を挙げた。

1177日ぶりの勝利をマーク


 来季にブレークする有力候補は誰か。他球団の首脳陣は迷わず、「中日の梅津でしょう」と即答した。

「能力で言えば高橋宏斗に匹敵する。すごい球を投げていたし、今年のシーズン終盤の投球をされたらなかなか連打が出ない。故障なくシーズンを通じて先発で回れば、2ケタ勝利はクリアできる力を持っている」

 身長187cm、体重95kgの恵まれた体格からしなやかなフォームで投げ込む姿が、大谷翔平(エンゼルス)を彷彿とさせる。投げている球もえげつない。昨年3月に右肘内側側副靱帯再建術(トミー・ジョン手術)を受け、リハビリ生活を経て今年8月31日のヤクルト戦(バンテリン)で817日ぶりに一軍マウンドへ復帰。直球は自己最速を2キロ更新する155キロを計測し、うなりを上げていた。

 9月25日の阪神戦(バンテリン)で8回1失点と好投し、1177日ぶりの白星をマーク。3試合に登板して防御率0.95、計161球投げた直球の平均球速は150.3キロだった。今季直球の平均球速が150キロを超えたセ・リーグの日本人先発投手は、152.3キロを叩き出したチームメートの高橋宏と2人のみだ。

ケガとの闘いを乗り越える


 梅津はアマチュア時代から故障との闘いだった。東洋大では4年秋にリーグ戦初勝利を挙げている。同学年に甲斐野央(ソフトバンク)、上茶谷大河(DeNA)、中川圭太(オリックス)、末包昇大(広島)、藤井聖(楽天)と逸材がそろっている中、梅津は大学時代に目立った実績を残せなかったがスケールの大きい投球で一目置かれていた。中日にドラフト2位で指名されたのも、潜在能力を高く評価されたからだった。

トミー・ジョン手術から復活を果たして今季、最多勝、勝率第一位に輝いた東


 プロ入り後も故障で投げられない時期のほうが長かったが、今年のシーズン終盤に復帰して大きな光を見出した。良きお手本がいる。投手としてのタイプは違うが、トミー・ジョン手術から鮮やかに復活した東克樹(DeNA)だ。入団1年目の2018年に11勝を挙げたが、その後は左肘痛で思うように投げられない日々が続いた。21、22年は1勝止まり。だが、今季は16勝3敗、防御率1.98と自己最高の成績で、最多勝、最高勝率(.842)のタイトルを獲得した。

 梅津もプロ6年目の来季は大輪の花を咲かせることができるか。チームが2年連続最下位に低迷した中、先発ローテーションの中心で稼働する活躍を見せたい。

写真=BBM
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