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巨人のドラ1右腕が他球団で再出発か…「セットアッパーで大化け」期待が

 

きっかけをつかめば大きく変わる可能性


今季は5試合の登板に終わり、巨人を戦力外となった鍬原


 ソフトバンクが巨人から戦力外通告を受けた鍬原拓也を育成契約で獲得することが、複数のメディアで報じられた。

 ドラフト1位で入団したのが5年前。清宮幸太郎(日本ハム)、村上宗隆(ヤクルト)をクジで外し、「外れ外れ1位」で入団したが、右の先発候補として期待は大きかった。野球を始めるきっかけは、小学1年の時に見た阿部慎之助(現巨人監督)のホームラン。中大でも偉大な先輩とチームメートになった当時、「プロとしてどう生き残っていくか、多くのピッチャーを見てきていると思うのでマウンドさばきや投手としての心構えを教えてほしいです」と目を輝かせていた。

 だが、サクセスストーリーを切り拓けなかった。度重なる故障が影響し、2度の育成契約を経験。スリークォーターからサイドスローに投球フォームを改造した時期もあった。苦しい時期ばかりだったわけではない。昨年は開幕から9試合連続無失点で7試合連続ホールドをマーク。セットアッパーとして奮闘した。5月以降は集中打を浴びる登板が続いた時期があったが夏場以降は持ち直し、自己最多の49試合登板で3勝2敗13ホールド、防御率5.16をマーク。150キロを超える直球にシンカー、カットボールのコンビネーションで凡打に仕留める。プロで生きる術を見出したかに見えたが、今季は5試合登板のみ。6月4日の日本ハム戦(東京ドーム)で1回を投げ切れず4失点で降板した試合が、巨人で最後の一軍登板となった。

 イースタン・リーグでは27試合登板で2勝2敗6セーブ、防御率1.48の好成績をマークしている。スポーツ紙記者は「一軍で投げた4月の4試合は直球が走っていたし、昨年の好調時に近かった。鍬原の課題は良い投球を持続する再現性でしょう。ハマれば三振を次々に奪うが、状態が悪いときは修正できず制球が甘くなったところを痛打される。持っている能力は非凡なものがあるだけに、ちょっとしたきっかけをつかめば、大きく変わる可能性が変わる」と期待を込める。

ソフトバンクに良きお手本


広島を戦力外から独立リーグへ経てソフトバンク育成へ。そこからはい上がった藤井


 育成契約で再出発の可能性が高いソフトバンクに、良きお手本がいる。セットアッパーとして素質を開花させた藤井皓哉だ。おかやま山陽高からドラフト4位で広島に入団したが、6年間の在籍期間で1勝に終わり20年オフに構想外で退団に。12球団トライアウトを受験したがNPB球団から声が掛からなかった。

 だが、ここからはい上がる。翌21年に独立リーグの四国IL/高知に入団して11勝3敗、防御率1.12で最優秀防御率と最多奪三振(180)のタイトルを獲得し、同年オフにソフトバンクに育成契約でNPBに復帰。昨季は3月22日に支配下登録を勝ち取り、開幕から21試合連続無失点を記録するなど、「勝利の方程式」として不可欠な存在に。55試合登板で5勝1敗22ホールド3セーブ、防御率1.12と圧巻の成績を残した。

 今季は先発でスタートし、開幕から16回2/3連続無失点を記録。6月中旬に故障で戦列を離れ、1カ月後に復帰以降はチーム事情で救援に再転向し、34試合登板で5勝3敗9ホールド、防御率2.33をマークした。150キロを超える直球に落差の鋭いフォークにスライダーを織り交ぜて三振奪取能力が高い。今後の活躍次第で球界を代表するセットアッパーに上り詰める可能性は十分にある。

 藤井と鍬原はともに27歳。鍬原は3月26日が誕生日で早生まれのため学年は1つ上になるが、まだまだ限界を感じるのは早い。藤井と同様にソフトバンクで育成契約からはい上がり、大化けできるか。

写真=BBM
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