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高校OB戦で充実の時を過ごした早大新主将&新副将 印出太一、吉納翼が目指す大学4冠

 

一、三塁のベンチに分かれて対戦


中京大中京高OBの早大・印出[左]と東邦高OBの早大・吉納[右]は学校創立100周年記念試合に出場した[写真=BBM]


[創立100周年記念 オール中京・オール東邦 野球大会]
11月23日(バンテリンドーム)
中京OB6−3東邦OB

 中京大中京高と東邦高の創立100周年記念行事として11月23日「オール中京・オール東邦 野球大会」がバンテリンドームにて行われた。午前10時から大学・社会人でプレーする卒業生で編成したOBが対戦し、中京OBが6対3で東邦OBを下した。

 早稲田大学野球部は11月11日、2024年の新幹部を発表。主将は中京大中京高で主将を務めた捕手の印出太一、副将は東邦高で副将を務めた外野手の吉納翼が就任した。3年間、安部球場で一緒に汗を流してきたチームメートも、この日は一、三塁のベンチに分かれた。

 印出は六番・捕手、吉納は六番・右翼手で先発出場。吉納は2打数無安打。1四球、1死球と相手バッテリーは執拗にマークしてきた。吉納の3打席でマスクをかぶった印出は言う。

「東邦で一番、警戒するバッターであることは間違いない。早稲田での練習において実戦で対戦する機会はないので、久しぶりであり、新鮮な気持ちでした。目の前に立っていると『やっぱり、怖いな』と。お客さんも見ている試合ですから、ぬるいプレーはできない。楽しさがありましたけど、真剣勝負でした」

 吉納も意識していた。

「試合中、あうんの呼吸があるので、印出とは話すことはありませんでした。高校時代を思い出して、良きライバルだったという懐かしさもあれば、(今回の記念試合のために用意された)新しいユニフォームで戦う新鮮さ。非常に濃い1日になったと思います。一人の卒業生、一人の野球部OBとして、この記念試合に携われたことがうれしく思いますし、100年に1回のことなので、素晴らしい記念行事だったと思います。今後、愛知の高校野球だけではなくて、日本の高校野球を引っ張っていく両校かと思います。お互いが刺激しているからこそ、真剣勝負ができました。後輩たちには、継承してもらいたいです」

「野球人生でも良い経験」


早大ではチームメート。練習で対戦する機会はあまりないという。左打席の吉納とマスクをかぶる印出はお互い、新鮮な空気感だった[写真=BBM]


 この日、1安打を放ち、好リードを見せた印出はすっかり、リーダーの風格が出てきた。2年春からマスクをかぶっており、不動の四番。この秋は勝ち点(2勝先勝)を奪えば優勝という早慶戦を落としただけに、2020年秋以来のリーグ制覇への思いを強く持っている。

「早稲田を背負うのは、それだけの重圧はありますし、それなりの結果が求められると思うので、吉納と切磋琢磨していきたい。自分たちは愛知県出身で、地元の高校野球ファンにも注目していただいている。東京から盛り上げられるように、頑張っていきたい」

 早大でとともにクリーンアップを張ってきた吉納は主将・印出をサポートする立場。この秋はベストナインを初受賞。大学球界屈指の左のスラッガーとして、プロ注目の存在だ。

「早稲田大学野球部の部員として、目指すべきは天皇杯と日本一。大学4冠(春、秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)というところなので、チームづくりを印出と一緒にやっていきたいと思います」(吉納)

 多くの学校関係者から激励された印出にとっても、充実の1日となった。

「高校の記念行事に参加させていただいたのは光栄に思っていますし、偉大なOB、他校の方と最高の舞台で、お客さんの前でプレーできたことに、自分の野球人生でも良い経験となり、感謝しています」

 愛知でエネルギーをもらった。来春への戦いはもう、始まっている。東京に戻り、残り約1カ月、2023年の練習を良い形で締めくくる。

文=岡本朋祐
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