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オリックス移籍の西川龍馬 初のパ・リーグで「首位打者の有力候補」の高評価が

 

悩みに悩んだ末の決断


1年目で遊撃のレギュラーを獲得した西川


 ブーイングではない。真っ赤に染まったスタンドから注がれたのは温かい拍手だった。マツダ広島11月23日に開催された広島のファン感謝デー。前日に国内FA権を行使し、オリックスへの移籍が決まった西川龍馬が参加した。ファンとの交流を楽しみ、最後にあいさつした新井貴浩監督に促されてマイクの前へ。ファンに向けて感謝の思いを語った。

「長いようで短かった8年間でしたが、FAを取ってこんな選手になれたのも、オーナーをはじめ、カープ球団、大好きな先輩、後輩、裏方さんの皆さん、そしていつも応援してくださるファンの皆様のおかげです。ありがとうございます。来シーズンはパ・リーグのオリックス・バファローズに行って、オープン戦、交流戦で戦えるのを楽しみにしています。そのときは全然ヤジってもらっても構いません。それをパワーに変えてやっていきたいと思います。来シーズン、パ・リーグで優勝し、セ・リーグはカープが優勝し、日本シリーズで戦いたいと思います。それを目標に頑張りたいと思います。8年間本当にお世話になりました。カープに来てよかったです」

 悩みに悩んだ末の決断だった。西川は昨年のシーズン途中に国内FA権を取得している。オフに権利を行使するか注目されたが、このときは今年から就任した新井貴浩監督を「胴上げしたい」と1年契約で残留を決断した。2016〜18年に球団史上初のリーグ3連覇を経験した天才打者は内に秘めたものがあっただろう。19年から4年連続Bクラスと低迷。背番号「63」から「5」に変更した今季はチームリーダーとして引っ張った。7月上旬から右脇腹痛で1カ月戦線離脱したが2年ぶりの規定打席に到達し、109試合出場でリーグ2位の打率.305、9本塁打、56打点をマークした。

 リーグ優勝した阪神に及ばなかったが、前年度の5位から2位と大きく躍進。来季はV奪回の中心選手として期待された。広島への愛着は強い。好条件を提示されて心が揺れたが、1人の野球人としてパ・リーグでプレーしたい気持ちが抑えきれない。オリックスで再スタートを切ることを決断した。

B打線に大きなプラスアルファ


 リーグ3連覇を飾ったオリックスにとって、西川をFAで獲得できたことは大きなプラスアルファだ。今季の外野手で規定打席に到達した選手は中川圭太のみ。杉本裕太郎は度重なる故障で96試合出場にとどまり、打率.242、16本塁打、41打点と不本意な成績に。茶野篤政野口智哉渡部遼人池田陵真と若手が台頭してきているが、長いシーズンでまだレギュラーとして計算できる水準には達してない。西川が加入することで「三番・左翼」として計算できる。FA移籍1年目で攻守の軸としてリーグ3連覇に大きく貢献した森友哉、自身初の首位打者に輝いた頓宮裕真、長距離砲の杉本が並ぶ中軸は迫力十分だ。

セからパへFA移籍で即首位打者


2011年に横浜からソフトバンクにFA移籍して、首位打者を獲得した内川


 セ・リーグから初のパ・リーグ球団への移籍となる。交流戦で対戦しているが、相手投手のデータは少ない。他球団のスコアラーは「西川なら問題ないでしょう。初対戦の投手でもすぐにアジャストする。バットコントロール、ミート能力は天才的です。パ・リーグ移籍1年目で首位打者を獲得する可能性が十分にある。西川、森、頓宮と打撃技術が高い選手がそろう打線は本当に厄介です」と警戒を強める。

 過去にセ・リーグからパ・リーグに移籍1年目で首位打者を獲得した選手がいる。ソフトバンクの黄金時代を牽引した内川聖一だ。横浜(現DeNA)からソフトバンク移籍1年目の11年に打率.338でタイトルを獲得。翌12年は自身2度目の最多安打(157安打)に輝いた。西川もオリックスを常勝軍団に導く一員になれるか。

写真=BBM
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