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「第2の今中慎二」 阪神の高卒2年目左腕に「大ブレークの予感」が

 

岡田監督も高評価


将来性の豊かさを示している左腕・門別


 日本一に輝いた阪神の未来は明るい。高知・安芸で行われた秋季キャンプで岡田彰布監督が絶賛した投手が、高卒1年目左腕・門別啓人だった。

 メディア報道によると、岡田監督は門別のブルペンの投球に熱視線を送り、キレが格段に増した直球を高く評価。早くも来季の開幕先発ローテーション入りの可能性を示唆したという。

 将来を嘱望される金の卵だ。東海大札幌高で甲子園出場は叶わなかったが、最速150キロの直球を武器に世代を代表する左腕として評価を高めた。阪神にドラフト2位で入団。ウエスタン・リーグで12試合登板し、2勝2敗2セーブ、防御率2.78をマークした。プロ初先発となった9月30日の広島戦(マツダ広島)で5回無失点の粘投。7安打を浴びながらも要所を締め、4奪三振と合格点をつけられる内容だった。

 他球団の首脳陣はこう評する。

「左腕をムチのようにしならせて球が手元でピュッと伸びる。スライダーもキレがあるし、高卒1年目が投げる球とは思えない。物怖じせず内角にどんどん投げ込めるし、マウンド上で風格がある。将来のエースとして必ず出てくるでしょう。現役時代の今中慎二(中日)と重なるよね」

2年目にブレークの今中


しなやかな腕の振りから強烈な球を投じた今中


 今中の投球を鮮明に覚えている野球ファンは多いだろう。1993年に17勝7敗1セーブで最多勝、最多奪三振、沢村賞を受賞した。先発で30試合登板して14完投、249イニングを投げて247三振と驚異的な数字が並ぶ。140キロ台中盤の直球と100キロ前後のスローカーブを織り交ぜて打者を腰砕けにする投球は芸術と評されるほど。無尽蔵のスタミナで26歳のシーズンまでに計87勝をマークした。その後は登板過多が影響したのか故障に苦しみ通算91勝と白星が伸びなかったが、球界を代表するエース左腕だった。

 今中が頭角を現したのが高卒2年目の90年。31試合登板で10勝6敗1セーブ、防御率3.86をマークして6完投を挙げている。前年の1勝からジャンプアップした。今中に限らず、球界を代表する投手は高卒2年目にブレークするケースが多い。巨人のエースとして活躍した桑田真澄(現巨人二軍監督)はPL学園高からドラフト1位で入団した86年に2勝1敗の成績を残し、翌87年に15勝6敗、防御率2.17で沢村賞、最優秀防御率を受賞した。

チームにもたらすプラスアルファ


 オリックスの左腕エース・宮城大弥も高卒2年目の21年に13勝4敗、防御率2.51とブレークして新人王を受賞。25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。巨人のエース・戸郷翔征も新人の19年に2試合登板で1勝0敗と一軍デビューを飾ると、翌20年は先発ローテーションに定着して9勝6敗、防御率2.76をマークしている。高橋宏斗(中日)は1年目に一軍登板なし。ウエスタン・リーグでも14試合登板で0勝5敗、防御率7.01とプロの高い壁を味わったが、2年目に覚醒。直球が中日の日本人投手で球団史上最速の158キロを計測し、19試合登板で6勝7敗、防御率2.47をマークした。

 高卒2年目が若過ぎるということはない。阪神の先発陣は村上頌樹大竹耕太郎伊藤将司才木浩人青柳晃洋西勇輝西純矢と力を持った投手がそろい、レベルの高さは12球団屈指だが、門別が割って入れるか。村上、大竹が今年大ブレークしたように、新星の出現は大きなプラスアルファをもたらす。来季は19歳左腕に要注目だ。

写真=BBM
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